歯科助手が採用できない理由【結論:歯科業界しか見えてないから】
2022.04.08こんにちは、土屋です。
歯科助手が採用できなくて困っているという声をよく耳にします。
この記事では、「なぜ歯科助手が採用できないのか?」と「その解決策」を解説します。
歯科助手の採用でお困りの院長はぜひご覧ください。
歯科助手が採用できない理由
結論:歯科医院側が歯科業界しか見えてないからです。
歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士は、まずその資格を活かすために歯科医院で働くという選択をする方が大半ですが、歯科助手の場合はそうではありません。歯科医院で働くことは数ある選択肢の一つでしかありません。
昔は歯科助手といえば、医療系ブランドが素敵だし、医療で人のためになる。技術も身につくし、総合的に見て「なんだかかっこいい」職業でした。
しかし現在はというと、
このように検索結果でネガティブキーワードが並び、もはや「歯科助手=イメージの悪い職業」となってしまっています。
歯科助手の「5大不満」
歯科助手の「5大不満」として、よく挙げられるものは以下の通りです。
- 給料、報酬が低い
- 労働時間が長く、退職仕事できつい
- 職場の人間関係(いじめ、ハラスメント)
- 不衛生な仕事(よだれのついたスタイやティッシュ、患者の口腔内に使用した器具の洗浄)
- 歯科助手の権限を越えた業務(法令違反)を強いられる
※こちらにも言い分はありますが、ここはいったん客観的な意見として受け入れることにします。
つまり、いまの時代において、歯科助手という仕事は
不人気である
という事実を認識しないとならないということです。
人手不足で悩んでいるのは歯科業界だけではない
一方、他業界も、経済の発展と年々深刻化する人手不足問題に苦しんでいます(最近はコロナの影響も大きい)。
苦しんでいる他業界は、あの手この手を使って採用しようとします。
それにより、歯科助手を志望していた求職者が、他業界に流れていくということになります。
特に雇用者総数に占める女性の割合は年々増え続け、もっとも女性雇用者の多い産業である「医療、福祉」からの人材流入を狙った業界も多くなっています。特に、未婚の年齢階級別労働力率が最も高い「20〜24歳」は超激戦区となっています。
【参考】働く女性の状況 Ⅰ 令和元年の働く女性の状況 - 厚生労働省
歯科助手求人の競合となる業界・職種は?
最も競合がひしめいているのは未婚の年齢階級別労働力率が高い「20〜24歳」の女性を欲している業界・職種です。また歯科助手・受付の仕事との求める資質やスキルが同じ職種です。
具体的には以下の職種です。
- 販売スタッフ(アパレル販売)
- ホテルフロント・受付
- 医療事務・調剤薬局事務
- コールセンター
- ウェディングプランナー
業界別給与比較
次にそれらの職種の給与を比較していきます。
※データは求人検索エンジン「indeed(インディード)」に掲載されている求人の平均時給です。
※日本全国・2022年4月時点
いかがでしょうか?歯科助手は圧倒的な最下位となっています。
参考までにこちらも載せておきます。
これは給与だけの比較ですが、上記で挙げた業界は人が資本となるサービスで人材不足がそのまま死活問題となります。したがって、給与だけではなく、法令遵守はもちろん、人事・評価の仕組みを整え、産休・育休などの制度もしっかり整えていっています。
このままでは歯科業界の採用は、さらに厳しさが増していくことになると考えられます。
参加を検討されている方は、ぜひこの記事で紹介したポイントを参考に、有意義な時間を過ごしてください。
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採用目的が「院長自身の課題を解決のため」になっている
ではなぜこのようなことになっているのか。
それは、採用したい目的が「院長自身の課題を解決するため」になっているからです。もちろんすべての歯科医院がそうであるというわけではなく、私が経験してきて中で感じた総体的な傾向の話です。
- 今までいたスタッフが辞めてしまった、産休に入ってしまった
- チェアが埋まっていないのでもう1列稼働させたい
- 自分がSCしていて大変
など、採用活動が「自分の困り事を解決する」という目的になっている。思い当たりませんか?
院長がビジョンを持つことが大事
給与を高くすればよいかというと、そうではありません。
ではそうすればよいのか。
それはビジョンを持つことです。
ビジョンとは「実現したい未来」。言うなれば、医院のみんなが共通で認識する「行き先」です。
医院として目指すべき行き先が存在しないと、組織は変化せず硬直化し、最悪の場合は社会適合性を失ってしまうこともあります。
一方、進むべき方向がしっかりと示されてさえいれば、組織は柔軟に変化し医院はどんどん発展していけます。
せっかく歯科医療といういう社会貢献性の高い仕事をしているのにもかかわらず、もったいない。
そのビジョンの中に、スタッフのキャリアビジョンも盛り込むようにする。
「自医院のスタッフにどういった仕事のやりがいとキャリアを提供できるか」そういった考え方がベースにないと良い人材は採用できませんし、採用してもすぐに辞めてしまいます。
歯科医院だけではなく、一般企業も同じです
これは歯科業界に限ったことではなく、実は一般企業でも同じです。
例えば、スタートアップのベンチャー企業は大手企業と比べて資金力も安定もなく、高い報酬も専門的な仕事も、安心できる未来も提供できません。しかし、そんな中で良い採用を出来ている企業があります。
どうしているのか?それは社長がビジョンを掲げ、そのビジョンに共感してもらいそのビジョンを一緒に実現する仲間として招き入れているのです。「一緒にこういう未来を実現していこう。君の成長も約束する!」と。
ビジョンがないのであれば、採用条件を引き上げて、条件に魅力を感じて採用する他ありません。
「ビジョンもない、条件も良くない」では絶対にいい人材は採用できません。
それでも今すぐ採用したい場合は?
根本的な解決ではなく場当たり的な対応となってしまうことは否めませんが、以下の手段が有効です。
- 法令遵守
- 仕事の領域を広げてあげる
- 歯科衛生士との条件差をつけすぎない
1.法令は遵守する。当たり前のことですが、歯科助手の権限を越えた業務はさせていはいけません。自分のいる組織がコンプライアンス違反をしていないか、これは今の時代とても重要な要素です。
2.助手の仕事だけではなく、受付や事務なども経験できるよう仕事の領域を広げてあげることです。そもそも受付や事務の仕事は人気があるので母集団が増えますし、入職後も、仕事の幅が広がるため、やりがいと幅広い仕事経験を提供してあげられます。
3.歯科衛生士との条件差をつけすぎない。
・給与は歯科衛生士より2万円低い金額に設定する
・それ以外は歯科衛生士と差をつけない。
歯科衛生士との金額差をつけすぎるのはよくありません。また、衛生士だけにしか適用されない制度を設けるのもNGです。歯科衛生士と歯科助手の間に上下関係やミゾができ、チームワークが悪くなるからです。歯科助手のやる気が低下し、結果として退職してしまうリスクが高まります。
デンタルHR総研では「こんなサポート」ができます。
もしも、一人で解決するは難しいという場合は、弊社サービスもご検討ください。
弊社では採用活動を丸投げできて、採用するまで無料の採用代行サービスを用意しています。歯科助手の採用条件決定のお手伝いも含め、採用するまで無料です。
興味のある方はお気軽にご相談ください。
まとめ
- 歯科助手が採用できない理由は歯科業界しか見えてないから。
- 歯科助手仕事は不人気である。
- 人手不足で悩んでいるのは歯科業界だけではない。
- 今まで歯科助手に来ていた求職者が、他業界に流れていっている。
- 歯科助手求人の競合となる業界・職種は、販売スタッフ、ホテルフロント・受付、医療事務・調剤薬局事務、コールセンター、ウェディングプランナー。
- 歯科助手の給与はそれらの職種と比べて圧倒的に低い。
- 採用目的が「院長自身の課題を解決のため」になっている。
- 院長がビジョンを持つことが大事。それは一般企業でも同じ。
- それでも今すぐ採用したい場合は、法令遵守、仕事の幅を広げる、歯科衛生士との差をつけすぎないようにするの3点を実践するのとよい。
今回は、歯科助手が採用できない理由とその解決方法について説明をしてきました。
歯科助手採用におけるライバルは歯科業界の外にいます。ライバル業界に目をむけるのことも必要です。その中で、歯科業界や歯科助手という仕事は、他の業界・職種と比べ、どんな価値を提供できるのか。重要なテーマとなりますので、一緒に取り組んでいきましょう!
この記事を書いた人
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