
こんにちは、土屋です。
今回のテーマは、以下の通りです。
成人年齢18歳でどう変わる?歯科業界の採用や労務管理への影響は?
改正民法により、2022年4月から成人となる年齢が18歳に引き下げられました。
これによって歯科医院の採用や労務管理に影響はあるのでしょうか?
結論:ほとんどの歯科医院には影響ありません
影響があるのは未成年に「保護者の同意」を求める場合のみ
今回の改正での労務管理上のポイントは1点のみです。
民法5条の「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」という部分について、18歳、19歳の方には適用されなくなります。
歯科医院にはどのような影響があるのでしょうか?
まず歯科医院における有資格者(歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士)は資格を保持している時点で必ず成人であるため影響ありません。
影響があるのは、18歳、19歳のスタッフ(歯科助手・受付等)について、親権者等の同意を雇用契約時に取り付けていた場合のみです。
〇未成年であっても労働契約には本人の合意が必要、ただし親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向つてこれを解除することができる。(58条)
〇賃金は未成年に直接支払う(59条)※これは、18歳、19歳であっても変わりがありません。
〇労働基準法においても未成年が18歳未満になり、年少者と同じ定義となります。
厚生労働省:各種法令による児童等の年齢区分(法改正前)
18歳、19歳の労働者の雇い入れ時、「保護者の同意不要」とするかは考え方次第

一般企業の中には、本改正によって、18歳以上20歳未満について保護者の同意を求めないこととする動きが出ています。
一方で、改正民法の施行に関わらず、引き続き20歳未満の労働者には保護者の同意を求めるとする企業もあるようです。
法律によって成人年齢が引き下げられたとしても、18、19歳であれば多くがまだ学生で保護者の支援によって生活しているなど、成人扱いをすることが妥当とは言い難いという判断のようです。
貴院では、どのような方針を打ち出すのでしょうか?
学生を雇う場合は、学業との両立への配慮を

歯科医院では、大学や専門学校に通う学生が、歯科助手・受付として働くケースが多くあります。
労基法には、18歳以上20歳未満を対象とする保護規定は設けられていませんので、原則は労働基準法に則り、成人労働者と同様に扱うこととなります。
ただし、学生アルバイトに対する学業との両立への配慮は必要です。シフト決定の際には、学校の試験や実習日程、本人の希望を考慮するようにしましょう。
参考:厚生労働省「高校生等のアルバイトの労働条件の確保について要請しました」
学生にも「労働契約を締結する当事者であること」への自覚を促す
今回の改正民法によって、上記で挙げた「保護者の同意」に関しては医院における検討事項となりますが、同意の要・不要に関わらず、労働者本人に「労働契約を締結すること」への自覚を持たせられるような工夫は必要です。
労働契約の内容や職場のルール等について本人に対して丁寧に説明する、定期的に面談する等、労使が対等に話し合える体制を作る等、他スタッフと同等に接することで、労働者自身が「学生アルバイトだから」と甘えることなく、自覚と責任をもって仕事に取り組めるようになるはずです。
そして、「学校を卒業しても引き続きこの医院で働きたい!」と思ってくれるはずです。
まとめ
- 成人年齢18歳による歯科医院への影響はほとんどない
- 影響があるのは未成年に「保護者の同意」を求める場合のみ
- 18歳、19歳の労働者の雇い入れ時、「保護者の同意不要」とするかは考え方次第
- 学生を雇う場合は、学業との両立への配慮をする
- 学生にも「労働契約を締結する当事者であること」への自覚を促すようにする
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