歯科衛生士がやってはいけないことは?違法行為をしないために知るべきこと

2023.07.29
歯科衛生士がやってはいけないことのイメージ

歯科衛生士の業務は、歯科医師の業務とは異なります。歯科衛生士は、歯科医師の監視のもと、業務を行うこととなっているのです。そのため、歯科衛生士に歯科医師の業務を任せてしまうと、それは違反行為となります。この記事では、歯科衛生士の業務と、やってはいけない業務についてまとめていきます。違反行為を避けるためにも、歯科衛生士の業務への認識を深め、歯科医院の質向上に役立てていきましょう。

歯科衛生士が知っておきたい歯科医療の範囲

歯科衛生士と歯科医師では、仕事内容は大きく変わってきます。そこでまず知っておきたいのが、歯科医療における絶対的歯科医療行為と相対的歯科医療行為についてです

この2つの歯科医療行為をしっかり頭に入れておくことで、歯科衛生士と歯科医師、それぞれの業務内容が明確となることでしょう。それでは、詳しい内容を紹介していきます。

絶対的歯科医療行為

絶対的歯科医療行為は、歯科衛生士はやっていけない業務、つまり歯科医師しかできない業務のことです。抜歯や抜髄は、絶対的歯科医療行為の代表的なものと言えるでしょう。ほかにも、歯の形成、クラウンの合着、レントゲン撮影といった業務は、歯科衛生士はやってはいけません。

絶対的歯科医療行為を歯科衛生士が行ってしまうと違法行為となってしまうので、注意が必要です。

相対的歯科医療行為

相対的歯科医療行為は、歯科医師の監視のもとで歯科衛生士が行ってもいい業務です。

相対的歯科医療行為は、歯科予防処置、歯科保健指導、歯科診療補助、そして口腔機能訓練といった業務です。歯のトラブルや病気から守るための非常に大切な業務となります。また歯の美しさや白さを保つホワイトニングも歯科衛生士が行ってもいい相対的歯科医療行為に含まれています。歯科衛生士による相対的歯科医療行為は、手術などのチーム医療でも大きな役割を果たしています。

歯科衛生士の業務内容5つ

続いて、歯科衛生士が行うことのできる相対的歯科医療行為の業務内容を詳しく見ていきましょう。歯科衛生士の業務は、歯と口腔の健康を保つため、虫歯や歯周病を防ぐためには欠かせません。誰もが歯科検診の際に受ける診療と言えるでしょう。ここでは、そんな歯科衛生士の重要な業務を5つ紹介します。

歯科予防処置

歯科予防処置の業務は、虫歯や歯周病を防ぐための大切な処置となります。虫歯や歯周病といった歯のトラブルがないかどうか、まずは歯や歯茎の状態をチェックします。その上で、歯垢や歯石の除去、フッ素の塗布を行います。虫歯や歯周病が見つかった場合は、歯科医師による処置が始まります。

歯科予防処置は、歯科検診の際に定期的に行われます。とくにフッ素などの薬の塗布は、子どものうちから行うことが推奨されている、大切な歯科予防処置です。

歯科保健指導

歯科保健指導は、歯科検診の際に歯科予防処置と同様に行われます。歯科保健指導では、歯科衛生士が歯の磨き方を正しく指導します。奥歯の磨き方、磨く際の強さなど、極めの細かい指導を行い、虫歯や歯周病を防ぐために役立てるのです。また、歯ぎしりや食いしばりの癖を治すためにできることを指導していきます。

さらに、必要であれば、食生活指導をすることもあります。とくに、子供のおやつの食べ方やバランスの摂れた食生活のために、親御さんの話を聞きながらアドバイスを行います。

歯科診療補助

歯科診療補助は、クリニックに勤務している歯科衛生士にとって、主な業務となります。その名の通り、歯科医師のそばで、医療行為をサポートしていきます

歯科医師の指示に基づき一部の医療を行ったり、薬品や機器の管理を担ったりします。また手術の際には、チームとして、歯科医師と歯科衛生士が協力し合い、歯科医療を行っていきます。

歯科診療補助の業務は、歯科助手の業務とは異なります。そのため、クリニックの掃除や受付業務などは歯科衛生士ではなく、歯科助手が行います。

口腔機能訓練

口腔機能訓練は、患者さんが飲んだり噛んだりする動きのトレーニングをするときに、指導する業務となります。口腔機能訓練は、歯科医院だけでなく、リハビリセンターでも歯科衛生士により行われています。

口腔の筋力の落ちた高齢者や、病気や事故などにより口腔に関わる機能に障害を持つ人が対象となります。口腔機能訓練により、食事や発語がしやすくなったり、脳が刺激され活性化したりします。患者さんたちがより健康な生活をするために欠かせないのが、口腔機能訓練の業務です。

ホワイトニング

ホワイトニングは、歯の色を均一にしたり、白くしたりするための歯科医療です。

歯科医院でのホワイトニングは、歯科衛生士が行っていい業務の一つです。ホワイトニングの手順は、歯の汚れや歯石を取り除き、ホワイトニング用のジェルを塗っていきます。さらに歯に光を当て、ジェルを歯に浸透させます。

歯科衛生士の中には、ホワイトニングコーディネーターの資格を保持していて、高い技術でホワイトニングを行う歯科衛生士が多くいます。

歯科衛生士に任せてはいけない行為

続いて、歯科衛生士に任せてはいけない行為をまとめていきます。絶対的歯科医療行為と呼ばれ、こちらは歯科医師による業務となります。絶対的歯科医療行為を歯科衛生士が行ってしまうと違法行為になってしまいます。必ず、歯科医師が担うようにしましょう。

抜歯

抜歯は歯を抜く行為で、こちらは絶対的歯科医療行為であるため、歯科衛生士はやってはいけない業務です。抜歯前に行う歯の汚れを取る処置や、抜歯後の痛み止めの服用の説明といった手順は歯科衛生士が行っても問題はありません。しかし、抜歯のための麻酔注射や器具を使いながら歯を揺らし、抜く作業は、必ず歯科医師が行わなければいけません。

抜歯により、血が止まらない、痛みや腫れが治らない、こういったトラブルが起こることも多くあります。トラブルを避けるためにも、歯科医師に任せ、抜歯を進めていきましょう。

抜髄

抜歯と同様、抜髄の業務も絶対的歯科医療となり、歯科医師が行う処置となります。抜髄は、歯髄炎になってしまった歯に対して行う処置です。進行した虫歯に対しても行うため、一般的な歯科医療となります。抜いた後に菌が入ってしまったり、痛みが取れなかったり、大きなトラブルに見舞われることの多い歯科医療となります。

歯科医師が必ず処置を行いましょう。歯科衛生士が行った場合は、違法行為となります。

歯の形成

被せ物をする前の歯の形を整えていく業務である歯の形成も、絶対的歯科医療行為にあたります。形成の精度が低くなってしまうと、その後被せ物をする時に適合性が悪くなってしまいます。

歯の形成の業務は、精密歯科医療となるため、必ず歯科医師が行ってください。歯の形成に必要な材料や器具の準備、唾液や血の吸引が歯科衛生士の業務内容となることを念頭においておきましょう。

クラウンなどの合着

クラウンなどの合着の業務も、絶対的歯科医療行為であるため、歯科衛生士は行ってはいけません。ただし、クラウンの合着のための器具の準備を歯科衛生士に任せることはできます。また処置の最中に、唾液の吸引などのサポートを歯科衛生士に任せることが一般的です。

クラウンなどの合着業務は、作製した技工物を接着する作業となるため、歯科衛生士な資格では扱うことはできません。

レントゲン撮影

歯科医院で行われるレントゲン撮影も絶対的歯科医療行為であるため、歯科医師が担う業務となります。

レントゲン撮影に関する説明やレントゲン室への誘導は、歯科衛生士によって行うことができます。しかし、レントゲン撮影のボタンを押す行為は医師が行わなければいけません。

歯科医師はボタンを押すだけだから、といってレントゲン撮影業務全般を歯科衛生士に任せることは違法行為にあたります。レントゲン撮影の準備ができたら、必ず歯科医師に業務を引き継ぐようにしましょう。

歯科衛生士の業務に存在するグレーゾーン

歯科衛生士が行ってもいい業務とやってはいけない業務について紹介してきましたが、実は歯科衛生士の業務にはグレーゾーンと言われる業務が存在します。歯科衛生士が行ってもいいのか、行ってはいけないのかが曖昧で、間違えやすいのがグレーゾーンです。どんな業務において、グレーゾーンが存在するのか見ていきましょう。

レジン充填

レジン充填は、歯科衛生士の業務のグレーゾーンと言われる業務です。

専門的な治療となるため、歯科医師が行うのが健全と言えるでしょう。しかし、法的には、この治療は歯科衛生士が行ってはいけないとは決められていないのです。そのため、歯科医院によっては、歯科衛生士に任せてしまっていることもあります。

歯科衛生士の資格では、レジン充填のスキルは身に付いていない、という意見もあります。歯科衛生士はサポートに回り、歯科医師に業務を任せるのが良いかもしれません。

麻酔

麻酔の業務は、歯科衛生士の業務に存在するグレーゾーンと言えるでしょう。なぜなら専門の資格を取得していたり、歯科除去の際の除痛処置で行ったりする場合、歯科医師の監視のもとで歯科衛生士が麻酔を行っても問題ないからです。例えば、表面麻酔薬を口内に塗る、という場合であれば、歯科衛生士が行っても構いません。しかし、歯肉注射や皮下注射といった注射器で内部に麻酔をする場合には、歯科医師が担当しなければならないのです。

任せてはいけない業務を歯科衛生士に任せるとどうなる?

実際に、歯科衛生士に任せてはいけない絶対的歯科医療行為を歯科衛生士がやってしまったら、どうなるのでしょうか。歯科衛生士法に反するとして罰せられ、裁判になってしまいます。歯科医師と歯科衛生士が逮捕されてしまったケースも過去にはありますので、注意が必要です。

絶対的歯科医療行為を歯科衛生士がやらない、ということはもちろん、相対的歯科医療行為であっても歯科医師のいない場合は行ってはいけません。違法行為にならないようにするためには、歯科医師と歯科衛生士の両方が、相対的歯科医療行為の業務を頭に入れておく必要があるでしょう。

歯科衛生士の業務内容でよくある質問

歯科医療における歯科衛生士の役割は大きいですが、業務を行う中で、業務内容が曖昧になってしまうことはよくあります。そして、何が違法行為に当たるのか分からなくなってしまうこともあるのです。

そこで最後に、歯科衛生士の業務内容に関して、よくある質問をまとめていきます。

歯科衛生士の型取りは違法?

型取りは、歯の形だけでなく、噛み合わせを見るために行います。どんな型取りであっても、型取りは絶対的歯科医療行為であるため、歯科衛生士がやってはいけません。型取りに関して、認識の甘い歯科医師も多いため、歯科衛生士に任せてしまうこともあるようです。ただ、違法行為にあたるため、型取りは行わないようにしましょう。

歯の型取りを行う際、歯科衛生士が患者に処置を説明したり、材料を練ったり、使う器材を用意したりすることはできます。その後は、歯科医師に任せるようにしましょう。

歯科衛生士の被せ物調整は違法?

歯科衛生士による被せ物の調整は、相対的歯科医療行為ではないため、違法行為に当たってしまいます。もちろん技術の高い歯科衛生士であれば、被せ物の高さの調整などであれば、できてしまうでしょう。そのため、歯科衛生士に被せ物調整を任せてしまう歯科医師もいるようです。

被せ物調整によって、噛み合わせが合わなくなったり、痛みが生じたりと口内のトラブルが発生してしまうこともあります。歯科医師が行う行為であることを認識していきましょう。

歯科衛生士がレントゲンを撮って事件になったことがある?

繰り返しになりますが、歯科衛生士がやっていけない業務をやってしまうと違法行為になってしまいます。

過去には歯科衛生士がレントゲン撮影を行ってしまい大きな問題となりました。歯科医師が多忙の場合や、歯科医師の指示であっても、歯科衛生士がレントゲン撮影のボタンを押すことはできません。資格を持たない歯科衛生士が、レントゲンを撮ってしまい、放射線被害などの健康被害が起きた場合、取り返しのつかないことになってしまうからです。

レントゲン撮影に限らず、絶対的医療行為は絶対に歯科衛生士が行ってはいけません。違法行為が明らかになると、処分を受けることになってしまいます。

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まとめ

この記事では、歯科衛生士の行ってよい業務と、やってはいけない業務についてまとめてきました。実際の現場では、忙しさにかまけて、歯科医師と歯科衛生士の業務の境界線が曖昧になってしまうこともあるでしょう。しかし、実際に事件になってしまった例もあるため、歯科衛生士と歯科医師の業務ははっきりと分けておく方が無難です。

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