歯科衛生士の新人教育チェックリスト|効果的に使うポイントも解説
2024.02.12
歯科衛生士は患者との接点も多く、医院の印象を左右する重要な役割を担っています。歯科衛生士を採用する際には、新人教育をするのが難しいと感じることもあるでしょう。しかし、新人教育に多くの時間と労力を費やしても思うようにスキルが向上しない・離職率が高いといった悩みを抱えている医院も多いのではないでしょうか。
この課題を解決するためには、歯科衛生士の新人教育チェックリストを活用するのがお勧めです。今回は、歯科衛生士の教育に役立つ新人教育チェックリストをご紹介します。効果的に使うポイントも解説しますので、新人の歯科衛生士の研修の参考になれば幸いです。
歯科衛生士の新卒採用については、下記の記事で詳しくご紹介しているので、合わせてご覧ください。
「歯科衛生士の新卒採用を成功させるには?効果的な求人のコツ」
歯科衛生士の新人教育は重要
歯科衛生士は、歯科診療で重要な役割を担っており、患者の満足度向上や医院の経営安定にも大きく貢献します。しかし、近年は歯科衛生士の人材不足が深刻化しており、採用競争も激化しています。さらに、せっかく採用した新人衛生士がすぐに離職してしまうケースも多く、医院にとって大きな損失です。
そのため、新しい歯科衛生士が入職した際は、患者のニーズや状況に応じて適切な対応ができるよう新人教育の実施が重要になります。その後の業務の質にも影響を与えるため、きちんとポイントを押さえて丁寧に指導を行うようにしましょう。
歯科衛生士の新人教育でチェックリストを使うべき理由
歯科衛生士の新人教育は、医院の未来を担う人材を育成するために重要です。しかし、新人教育には多くの時間と労力が必要であり、指導者側の負担が大きくなる課題があるため、チェックリストの活用は、この課題を解決するための有効なツールとして効果的でしょう。
歯科衛生士の新人教育チェックリストは、新人教育に必要な項目をリスト化することで、効率的にスキル習得をサポートできます。
また、チェックリストには、伝え漏れ・認識のズレを防ぐ・目標の達成度や現状把握が理解しやすいメリットがあります。チェックリストを作ると、新人の歯科衛生士と教育担当者が、どんなことをどんな方法で学ぶのか、どこまで習得する必要があるか等の情報の共有が可能です。両者の情報の共有により、教育担当者が必要事項を伝え忘れたり、両者の間に生じる認識のズレを防げるようになります。歯科衛生士の得手不得手を理解し、的確なフィードバックを与えるために、チェックリストを活用しましょう。
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歯科衛生士の新人教育チェックリスト【基本業務】
では、歯科衛生士の基本業務に関わるチェックリストを具体的にお伝えします。なお、チェックリストは一例です。リストを参照した上で、さらに必要な項目があれば追加・修正し、歯科医院の特性に合う形で活用してください。
診察時に必要な器具や材料の準備ができる
診察内容を的確に理解し、器具や材料を用意するだけでなく材料を練る・器具や材料を清潔にする等の下準備も含めたスキルが円滑に行えるかをチェックしましょう。診療の際に、どのような位置に器具を置くと、歯科医師に手渡しがしやすいか等の細かな点もしっかり確認しておくと、実際に診療で補助を行う際に安心して業務ができるでしょう。
歯科医師の指示や患者様の状況に応じた応対ができる
歯科医師の指示や患者様の状況に合わせた応対ができることも歯科衛生士にとって欠かせない基本業務です。歯科治療は、チームプレイで行うため歯科医師と信頼関係を築き、次々に出される指示に的確に応対できるようになる必要があります。また、患者様の状況に合わせた柔軟な対応ができるスキルも求められます。
使用済みの器具や材料の消毒・廃棄・回収が正しくできる
歯科衛生士の仕事は、診療中に行う業務だけではありません。診療後に使用済みの器具や材料を消毒する・正しい方法に従い廃棄や回収に出すのも大事な仕事です。注射針の扱い等、細心の注意を要する器具も多いため、慎重に取り扱う姿勢を身につけられているかをきちんとチェックしましょう。
診察台やユニット等を常に清潔にできる
診察台やユニット等を常に清潔にすることも新人歯科衛生士に与えられる課題です。患者様が治療を終えた後に、次の患者様をお迎えするまでの間に診察台やユニットまわりを綺麗にするには、丁寧さだけでなくスピードも求められます。無駄のない動作で、スムーズに作業が行えているかを確認してください。
診察室や滅菌室の整理整頓ができる
歯科医院の環境を整えるには、診察室や滅菌室の整理整頓ができることも大切です。器具や材料が整理されていない状態では、効率よく治療を進めるのが難しく、来院した患者様にも好ましくない印象を与えてしまいます。必要な物がすっきり分かりやすい状態で置かれている環境作りができるスキルを新人教育の研修中に習得させましょう。
歯科衛生士の新人教育チェックリスト【患者対応】
続いて、患者対応の歯科衛生士の新人教育チェックリストをご紹介します。患者対応のチェックリストはあくまでも一例ですので、各項目の要不要を判断し、個々の歯科医院のニーズに合わせたリストを作成してください。
親切で丁寧な応対ができる
患者対応の基本的な姿勢として身につけておきたいのが、親切で丁寧な応対です。ホスピタリティ精神あふれる相手の立場に寄り添う対応を目指しましょう。自由診療を取り入れているクリニック等では、ホテルクオリティの応対を実現しているクリニックもあります。歯科医院の特性に合う応対ができるよう、適切な新人指導を行うことが大切です。
予約状況や来院状況の管理ができる
受付業務は歯科医院により、受付に専門のスタッフを雇用している・歯科助手が兼任する等さまざまです。また、歯科衛生士が受付業務を兼任している歯科医院も少なくありません。そのため、予約状況や来院状況の管理ができるようになることも重要です。新人歯科衛生士に対して、予約や来院状況の管理を行うシステムの詳細を伝え、予約の取り方やキャンセルの方法をマスターできるようにしましょう。
カルテを迅速かつ正確に作成・更新できる
患者応対の業務の一部として重要な点が、カルテを迅速かつ正確に作成・更新できるスキルです。患者様の歯の状態に対して、歯科医師がどのような診療を行ったか的確に分かりやすく記すことが求められます。次の診療を待つ患者様もいるため、現実的にはカルテ作成にさほど長い時間を割くことはできません。短時間で、正確にカルテを作成・更新できるスキルを磨けるようにしてください。
診療内容を適切に伝達できる
歯科衛生士にとって診療内容の適切な伝達も大切な患者応対の1つです。歯科衛生士は、患者様の口腔内の状態を伝えた上で、虫歯等のトラブルに対してどのような方法で治療を行うかを説明します。治療後に、診療内容やアフターケアに関する情報を伝えることも必要です。専門用語を使い過ぎず、患者様が理解しやすい表現を選んで伝達するスキルを新人教育の期間にマスターしておくと安心です。
個人情報やプライバシーを遵守できる
新人の歯科衛生士に限らず、患者様の情報を取り扱う歯科医院のスタッフに不可欠なのが、個人情報やプライバシーを遵守する姿勢です。歯科医院の個人情報の取り扱いのルールを伝え、ルールに従った行動を徹底してください。個人情報漏洩は、歯科医院の閉院の原因ともなり得ることを認識させ、業務外で個人情報の口外がないよう注意を促すことも大切です。
分かりやすい指導・説明ができる
歯科衛生士は、予防歯科との関わりが深い職種です。口腔内のチェックやレントゲン撮影から把握できる患者様の口腔内の状態を説明し、歯ブラシやフロスの使い方の指導を行います。好ましくない歯磨きの癖がある場合は、アドバイスを与えて効果的なブラッシング法を伝えます。段階を追って的確に説明や指導を行うにはスキルだけでなく、ある程度の経験も必要です。安心して指導を任せられる存在に成長できるよう、長い目で見守ってあげてください。
歯科衛生士の新人教育チェックリスト【知識・スキル】
最後に、知識・スキル面でのチェックリストをお伝えします。知識・スキルのチェックリストはあくまでも一例ですので、個々の歯科医院の事情に合わせて柔軟に項目の追加や修正を行うのがお勧めです。
歯科衛生士の詳しい業務内容に関しては下記の記事で詳しくご紹介しているので、合わせてご覧ください。
「歯科衛生士がやってはいけないことは?違法行為をしないために知るべきこと」
歯科予防処置ができる
歯科衛生士は資格を生かして歯科予防処置ができる職種であり、自分の担当患者を持つケースがあります。歯科衛生士がフッ化物塗布・歯垢や歯肉縁上の歯石除去等の予防処置を適切に行えるスキルが習得できているかをチェックし、適切にフィードバックやアドバイスを与えるようにしてください。
保健指導ができる
保健指導も有資格者の歯科衛生士ならではの業務です。患者さんがセルフケアできるように具体例を交えて分かりやすく指導を行い、予防歯科の重要性をきちんと理解してもらえるようにしましょう。また、口腔内の状態に影響を与える生活習慣も聞き出すことが大切です。歯に着色が目立つ場合は、コーヒーや紅茶等の着色がしやすい嗜好品を摂取する頻度を尋ねる等、患者様の歯の状態に合わせたヒアリングを柔軟に行う力の育成が求められます。
適切な診察補助ができる
適切な診察補助を行うことも歯科衛生士の重要な業務です。仮封材の除去や概形印象・ホワイトニング等、歯科衛生士が行う診療補助は多岐に渡ります。歯科医師から指示が出されたら迅速に対応ができるよう、実践的な力を育成すると良いでしょう。
口腔機能訓練ができる
高齢化が進む中で、口腔機能訓練の需要が高まっています。口腔内訓練とは、高齢者を中心とした咀嚼や嚥下の機能が落ちた方へのアドバイスやトレーニングを行うことです。歯科医院内で行うこともあれば、自宅や介護施設を訪問した際に訓練する場合もあるため、場所が変わっても円滑なアドバイスができる柔軟な対応力が必要となります。
歯科衛生士の新人教育チェックリストを効果的に使うポイント
歯科衛生士の新人教育チェックリストを効果的に使うには、以下のポイントに注意して効果的に使いましょう。
- カリキュラムと並行したチェックリストを作成する
- 研修期間中にセルフチェックを繰り返しさせる
- チェックリストを教育担当者との面談時に参照する
以下で、3つのポイントを詳しくお伝えします。
カリキュラムと並行したチェックリストを作成する
今回ご紹介した新人教育チェックリストは、新人歯科衛生士に必要なスキルや知識を具体的に示したリストです。歯科衛生士の新人教育を効果的に行うには、定められた期間内に習得すべき内容や目的を示すカリキュラムに沿ってチェックリストを作成し、並行して教育を実施しましょう。育成カリキュラムを活用すると、教育担当者には学習の過程が理解しやすくなり、新人の歯科衛生士側には学習の進捗状況が把握しやすくなるメリットがあります。
研修期間中にセルフチェックを繰り返しさせる
研修期間中にセルフチェックを繰り返し行うことも大切です。チェックリストの項目を口頭で伝えたり、順番に行ったりするだけでは、知識やスキルの定着には不十分な部分もあります。新人の歯科衛生士本人が何度もセルフチェックをすれば、自身の能力の強みや弱みを冷静に分析して見つめ直すことができます。セルフチェックの結果を生かして改善点を修正し、課題を克服するヒントにしてください。
チェックリストを教育担当者との面談時に参照する
チェックリストを教育担当者との面談時に参照するのも良いでしょう。チェックリストがあると、教育担当者と相談がしやすいため、フィードバックを設けやすく具体的な対策が進めやすくなります。チェックリストを参照しながら面談を行うと、スキルの評価だけでなく、新人歯科衛生士がどのような部分に不安を感じているかにも言及しやすく、新人特有の悩みや不安を解消する一助を担います。
歯科衛生士の採用ならデンタルHR総研へ
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まとめ
歯科衛生士の新人教育には、チェックリストを活用するのがお勧めです。今回ご紹介した基本業務、患者対応、知識・スキル等の分野に分けてリストを作成し、リストに沿って新人研修を進めましょう。育成カリキュラムの内容に合うチェックリストを作成すれば、より効果的に新人教育が行えます。新人歯科衛生士の採用や教育にお悩みなら、デンタルHR総研にお任せください。万全のフォロー体制により人材が定着しやすいため、採用や人材育成に係る負担を軽減できるはずです。
この記事を書いた人
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