人が集まる!選ばれる歯科医院の採用戦略
2025.04.23
歯科医院における慢性的な人材不足は、多くの院長先生を悩ませる深刻な問題です。優秀な歯科衛生士や歯科助手を採用し、長く勤めてもらうためには、医院が「選ばれる存在」になることが欠かせません。本記事では、求人票の作り方から見学・面接、入職後の定着支援まで、具体的なノウハウを“院長先生と1対1で語り合うように”お伝えします。
これを読めば、他院と差をつけ、「ここで働きたい!」と思わせる歯科医院づくりのヒントが満載です。
1.はじめに
こんにちは、土屋です。
「求人を出しても全然応募が来ないんですよ…」
「来てもすぐ辞めちゃって、結局振り出しです」
これは、私がお付き合いのある歯科医院の院長先生から、実際によく聞くお悩みです。
日々の診療に加えて、経営、スタッフマネジメント、そして採用まで。もう本当に忙しい中で、どうしたらいいのか分からない…と感じている方も少なくないと思います。
それは「人が変われば、医院は変わる」ということ。
この記事では、これまで500件以上の歯科医院を支援してきた私が、院長先生と1対1でお話しするつもりで、人が集まりやすく、辞めにくい医院をつくるためのヒントをお届けしていきます。
2.今の採用市場、どうなっているかご存知ですか?
(1)求人倍率は23倍超。採用は「待ち」から「勝ち」へ
先生、いま歯科衛生士の求人倍率がどのくらいかご存じでしょうか?
最新の統計では、全国平均で23倍を超えているとされています。
これはどういうことかというと、1人の歯科衛生士に対して、23件以上の歯科医院が採用の打診をしているということ。
言い換えれば、先生の医院もその“23分の1”として競争に参加しているわけです。
この状況を少し砕いてお伝えすると、「採用=出会い」と例えられることがあります。
その視点から考えると、現在の採用市場は、まさに女性1名に対して男性23名が参加している“合コン”のような構図です。
(2)最近の求職者、どんな動きをしてる?
最近の求職者の動きって、どんな感じだと思いますか?
「気になる医院があれば応募して、まず話を聞く」といったシンプルな流れを想像されるかもしれませんが、実際の現場では、かなり慎重かつ戦略的な動き方をする方が増えています。特に20代〜30代の歯科衛生士の方々は、平均して3〜5院を比較・見学してから応募先を絞り込むという傾向があります。
選ぶ側の視点で、医院を“体感”している
求職者の多くは、給与や休日といった条件面だけでなく、もっと“人”や“空気感”を大事にしています。
たとえば、こんな声をよく耳にします:
- 「給与が少し高い医院よりも、安心して相談できそうな先輩がいる医院の方がいい」
- 「院長先生の話し方やスタッフさんの対応で、医院の“人の温度”が伝わってきた」
- 「1件目の見学より、3件目の医院の方が雰囲気が良かったから、そっちに決めた」
“感覚的な心地よさ”や“そこで働く自分がイメージできるか”を大切にしている
でも実際には、「雰囲気」は求人票だけでは伝わりません
院長先生も感じておられると思いますが、「うちは雰囲気がいい」「人間関係は良好」という一文だけでは、なかなか伝わりませんよね。
求職者は自分なりの“判断材料”を探します。
そして今、多くの方が知りたいと思っているのは、こんな具体的でリアルな情報なんです:
- メインテナンスのアポイントは何分単位?(30分?45分?60分?)
- 患者さんの年齢層は?(子どもが多い?高齢者中心?)
- 衛生士担当制か?
- ドクターのアシスト時間は?
- 社会保険の種類は?協会けんぽ?歯科医師国保?
- ユニフォームの色・洗濯方法は?
- スタッフルームの広さや備品は?
- トイレはスタッフ専用?患者共用?
医院が選ぶ時代から、医院が選ばれる時代へ
ここまでお読みいただいた先生には、お気づきかもしれません。採用市場の構造は、10年前と比べて大きく変わりました。
採用は“選ぶ時代”から、“選ばれる時代”へと完全に移行したのです。
今は「なぜうちを選んでくれるのか?」を逆算し、情報の出し方や接触方法を設計する必要があります。
3.人が集まる医院がやっていること
(1)まずは、“見られている”という意識を持ちましょう
院長先生、求人票を出すとき、「これで応募は来るだろう」と思っていませんか?実際には求人票は入り口にすぎず、その後必ず「Googleマップ」「SNS」「口コミ」をチェックされます。
- 写真が暗い
- 更新が1年前で止まっている
- 「雰囲気」の記載がない
(2)「ここで働きたい」と思わせる伝え方
答えは、“働くイメージがリアルに湧いた医院”です。スタッフの笑顔、1日の流れ、院長先生の想いなどをしっかり見せましょう。
4.求人票と面接、ここを変えるだけで変わります
(1)求人票は“見学前の接客”です
求人票は、求職者にとっての「はじめての医院体験」です。
条件だけを並べるのではなく、「どんな未来が描けるか」まで感じられる情報を盛り込みましょう。
- 教育体制や評価制度の概要(どんなステップで成長できるか)
- 実際に働くスタッフの“成長エピソード”を紹介
- 院長先生の想いを伝えるメッセージ
- 「1日のスケジュール例」や「月間イベント」など読み物要素
(2)見学・面接は「お互いを知る時間」に
応募後24時間以内の連絡を徹底し、他院より先に安心感を与えましょう。
- 日時提案は2〜3候補をすぐに送る
- 当日は7割こちらから医院の魅力を説明し、3割は求職者の声を引き出す
- 院内ツアーをしながらリアルな働き方をイメージさせる
こうした“おもてなし面接”を実践すると、見学・面接率も内定承諾率もグンと上がります。
5.採用してからが本番。辞めない医院の工夫
(1)「最初の90日」で未来が決まる
採用後の最初の3ヶ月が定着の鍵です。
- 「初日説明が雑で不安だった」
- 「質問できる先輩がいなかった」
- 「見学時と実際の雰囲気が違った」
- 「最初の叱責が厳しすぎて心が折れた」
これらはすべて“期待のすれ違い”が原因。入職後すぐに手厚いフォローを行い、不安を解消しましょう。
(2)定着する医院はこうしてます
- ✅ メンター制度
年齢やキャリアが近い先輩が日々声をかけ、業務以外の相談にも応じる - ✅ 1on1定期面談
1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月ごとに、困りごとや目標をじっくりヒアリング - ✅ キャリアビジョン共有
「1年後には◯◯を任せたい」「こんな研修に行きましょう」など未来設計を話す - ✅ ちょっとした感謝の言葉
「助かったよ」「ありがとう」を日常的に伝え、安心感を醸成
6.まとめ|「ちょっと変えたい」が、医院を変える
「採用をそろそろ見直さなきゃ…」と感じた今が、最適なスタート時期です。
採用に本気で向き合った医院は、必ず
・スタッフ安定→診療の質向上
・患者さま満足度UP
・院長先生の笑顔増加
といった好循環を生み出しています。
たった1つの見直しが、大きな変化を呼びます。
• 求人票にスタッフのリアルな声を追加
• 面接後に手書きメッセージを添える
• Google写真を撮り直し、SNSで発信する
小さな一歩が、医院の未来を大きく好転させる第一歩になります。
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