歯科医院経営者必見!労働基準法を守るだけで求人応募数アップのポイント

2026.08.03

「求人を出しても応募が集まらない」「採用してもスタッフがなかなか定着しない」と悩む歯科医院の院長・経営者は少なくありません。

 

給与や求人広告の見せ方を変えることも大切ですが、その前に確認しておきたいのが、医院の労働条件です。労働基準法をはじめとする法令に沿った働きやすい環境を整えることは、スタッフが安心して応募・勤務できる医院づくりにつながります。

 

この記事では、歯科医院の採用力を高めるために見直したい労働条件について解説します。

なかなか採用できない……脱却のヒントは「労働基準法」にあり

歯科医院の採用というと、給与を上げたり、求人広告を目立たせたりする方法を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、応募者が重視するのは給与だけではありません。勤務時間や休日、有給休暇、社会保険など、安心して長く働ける環境が整っているかどうかも重要な判断材料です。

そこで見直したいのが、労働基準法をはじめとする法令に沿った労働環境です。まずは現在の就業規則や勤務体系、給与計算などを確認し、基本的なルールを適切に運用できているかをチェックしてみましょう。

 

労働基準法とは

労働基準法とは、労働者が安心して働けるように、労働時間や休日、休憩、賃金、年次有給休暇などの最低基準を定めた法律です。歯科医院を含め、労働者を雇用する事業者は原則としてこのルールを守る必要があります。

 

たとえば、1日・1週間あたりの労働時間の上限や、休日の与え方、時間外労働をさせる場合の手続き、残業代の支払いなどが定められています。

 

採用活動においても、こうした基本的な労働条件が整っているかどうかは重要です。法令に沿った働き方を整えることは、求職者に安心感を与えるだけでなく、入職後のトラブル防止やスタッフの定着にもつながります。

 

参考:労働基準法|法令・制度のご紹介_厚生労働省

 

歯科医院の採用が変わる!見直すべき労働条件

歯科医院が採用力を高めるためには、給与や求人広告だけでなく、実際の労働条件を整えることが重要です。特に確認しておきたいのは、以下の8つです。

 

見直すポイント

関連する主な法律

社会保険・厚生年金への加入

健康保険法第3条など

法定労働時間

労働基準法第32条

時間外労働・残業

労働基準法第36条

休日

労働基準法第35条

年次有給休暇

労働基準法第39条

最低賃金

最低賃金法第4条

割増賃金

労働基準法第37条

労働条件の明示

労働基準法第15条

 

どれも雇用するうえで基本となる項目です。法令を守ることを前提に、求職者から見ても働きやすい環境になっているかという視点で見直してみましょう。

 

【健康保険法第3条】社会保険・厚生年金に加入する

社会保険には、健康保険や厚生年金、雇用保険、労災などがあります。法人の歯科医院や、常時5人以上の従業員がいる個人事業所では、社会保険への加入が必要です。

 

また、5人未満で加入義務がない場合でも、スタッフの福利厚生や医院の信頼性を高めるうえで加入を検討する価値があります。競合する医院が社会保険を完備していれば、採用面でも比較されるポイントになるでしょう。試用期間中であっても、加入が必要なケースでは適切に対応することが大切です。

 

【労働基準法第32条】法定労働時間を守る

労働時間は、原則として1日8時間、週40時間以内に収める必要があります。常時10人未満の労働者を使用する事業所では週44時間まで認められる場合もありますが、採用を意識するなら週40時間以内を目指すことも検討しましょう。

 

また、診療時間の関係で1日8時間を超える勤務が必要になる場合には、変形労働時間制を導入する方法もあります。勤務時間の設定をそのままにするのではなく、実際の働き方に合った労働時間制度になっているか確認することが大切です。

【労働基準法第36条】残業を減らす

働き方改革が進むなか、残業の多さは求職者からネガティブに捉えられる可能性があります。たとえば、19時までの定時で毎日15分残業する職場よりも、19時30分までの定時で残業がない職場のほうが、魅力的に感じる求職者もいるでしょう。

 

残業を減らすことが難しい場合には、実際に必要となる勤務時間を定時に組み込むことも一つの方法です。予定していた終業時間を毎日のように超える状態を避け、勤務時間がわかりやすい環境を整えることが採用にもつながります。

 

【労働基準法第35条】休日を正しく与える

労働者には、原則として週1日の休日と月に4日以上の休日を与える必要があります。

 

休日を適切に確保できていないと、スタッフが十分に休めず、採用にも影響する可能性があります。また、休日だけでなく、勤務中の休憩を正しく与えることも重要です。スタッフが安心して働けるよう、休日や休憩をきちんと確保できているか確認しましょう。

 

【労働基準法第39条】年次有給休暇を正しく付与する

歯科医院では、「患者さんに迷惑をかける」「ほかのスタッフに負担がかかる」といった理由から、有給休暇を取りにくいケースがあります。しかし、スタッフには年次有給休暇を取得する権利があり、医院側の都合だけで取得しにくい環境にすることは望ましくありません。

 

少人数で診療している医院では調整が難しい場合もありますが、スタッフが計画的に休暇を取得できる仕組みを整えることが大切です。有給休暇を利用しやすい職場環境は、スタッフの働きやすさにもつながります。

 

【最低賃金法第4条】最低賃金額以上の賃金を支払う

スタッフに支払う給与は、最低賃金額以上に設定する必要があります。最低賃金は毎年変動するため、一度給与を決めたからといって、そのままにしてよいとは限りません。

 

特に、長く勤務しているスタッフの昇給率が低い場合、最低賃金が引き上げられることで現在の給与との差が小さくなり、場合によっては最低賃金を下回ってしまう可能性があります。毎年の最低賃金の変更を確認し、スタッフの給与が基準を満たしているか定期的に見直すことが重要です。

 

【労働基準法第37条】割増賃金を支払う

時間外労働や休日労働、深夜労働をしたスタッフには、割増賃金を支払う必要があります。時間外労働は25%増し、休日労働は35%増し、深夜労働は25%増しが基本です。

 

また、残業時間を医院独自の方法で計算しないよう注意が必要です。たとえば、15分単位で計算したり、一定時間を超えるまで残業代を支給しなかったりするルールは、スタッフの不満にもつながります。実際に働いた時間を適切に把握し、それに応じた賃金を支払うことが大切です。

 

【労働基準法第15条】労働条件を書面で明示する

スタッフを採用するときは、賃金や労働時間、休日などの労働条件を事前に明示することが重要です。条件を十分に説明しないまま入職してもらうと、働き始めてから「聞いていた内容と違う」といったトラブルにつながる可能性があります。

 

そのため、入職前に労働条件通知書などを提示し、どのような条件で働くのかを本人に確認してもらいましょう。口約束だけで採用を進めるのではなく、勤務開始前に労働条件を明確にしておくことが、医院とスタッフ双方の安心につながります。

 

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労働条件こそ基本を守るべき理由

現在は、求人サイトだけでなく、口コミサイトやSNSなどを通じて職場に関するさまざまな情報を集められるようになっています。そのため、求人広告では魅力的な条件を掲げていても、実際の労働環境が大きく異なれば、求職者から選ばれにくくなる可能性があります。

 

採用活動では、特別な待遇を用意することだけが重要なのではありません。労働基準法をはじめとする基本的なルールを守り、安心して働ける環境を整えることが、他院との差別化につながる場合もあります。

まとめ|労働基準法を守ることが歯科医院の採用力につながる

歯科医院の採用力を高めるためには、給与を上げたり求人広告を工夫したりするだけでなく、まず基本的な労働条件を整えることが大切です。

社会保険への加入や労働時間、残業、休日、有給休暇、賃金などを見直し、法令に沿った働き方になっているか確認しましょう。スタッフが安心して働ける環境をつくることは、求職者から選ばれる医院になるための土台にもなります。まずは現在の就業規則や働き方を確認するところから始めてみましょう。

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