歯科医院の人員配置は常勤を中心に考えるべき理由|非常勤スタッフに頼りすぎる採用の課題
2026.08.05
歯科医院で「必要な曜日や時間帯だけ働いてくれる人を採用したい」と考えていても、条件に合う人材がなかなか見つからず、採用に苦戦するケースがあります。非常勤スタッフの働き方そのものに問題があるのではなく、人員配置の軸を非常勤に置くことで、採用やシフト調整が複雑になっている可能性があります。
安定した診療体制を整えるには、まず常勤スタッフを中心に人員配置を考え、不足する時間帯を非常勤スタッフで補う形が望ましいでしょう。
この記事では、歯科医院が非常勤スタッフ中心で運営する場合の課題と、常勤を軸に考える理由について解説します。
歯科医院スタッフの働き方は主に2種類
歯科医院で働くスタッフの勤務形態は、大きく「常勤」と「非常勤」の2つに分けられます。一般的に、常勤はフルタイムに近い勤務をするスタッフ、非常勤はパート・アルバイトなど、勤務日数や時間が限られるスタッフを指します。
どちらの働き方にも役割がありますが、歯科医院の人員配置を考えるうえでは、常勤スタッフを中心に診療体制を組み立てることが重要です。
非常勤スタッフがうまく機能すれば、患者様が多い時間帯に人員を増やしたり、人件費を調整したりしやすくなります。一方で、非常勤スタッフが多くなりすぎると、一人ひとりの勤務希望を組み合わせながらシフトを作る必要があり、医院側の負担が大きくなることがあります。
採用に悩む歯科医院が陥りがちな人員配置
採用に悩んでいる歯科医院では、常勤スタッフが少なく、非常勤スタッフが多い人員構成になっているケースがあります。たとえば、常勤の歯科衛生士が1人、非常勤の歯科衛生士が5人といった状態です。
固定シフトではない非常勤スタッフが多い場合、それぞれの勤務希望に合わせて、パズルのピースを組み合わせるようにシフトを作らなければなりません。
「月曜日の午前はこの人、午後は別の人」といった形で診療時間を埋めようとすると、欠員が出るたびに新たなスタッフを探す必要も生じます。必要な時間だけ働ける非常勤スタッフを採用し続ける方法では、人員配置そのものが複雑になりやすい点に注意が必要です。
歯科医院の人員配置は常勤スタッフを軸に考える

歯科医院の人員配置は、まず常勤スタッフを中心に考え、そのうえで不足する曜日や時間帯を非常勤スタッフで補う形が望ましいといえます。
非常勤スタッフは、患者様が多い時間帯に人員を集中させたり、ユニットの稼働を調整したりするうえで役立ちます。繁忙時間に合わせて人員を配置できるため、人件費を調整しやすくなる場合もあります。
しかし、医院運営の軸まで非常勤スタッフに置いてしまうと、スタッフそれぞれの勤務条件に合わせて診療体制を組むことになります。その結果、採用やシフト調整の負担が大きくなりかねません。
常勤スタッフによって基本となる診療体制を整えたうえで、非常勤スタッフの柔軟な働き方を活用することが重要です。
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非常勤スタッフを中心に運営する3つのリスク
非常勤スタッフを中心とした人員配置では、採用や日々の医院運営に負担が生じることがあります。主な課題は、以下の3つです。
- 非常勤スタッフは必ずしも採用しやすいとは限らない
- 医院が求める時間だけ働ける人材は少ない
- パッチワーク経営による負担が増える
それぞれについて詳しく解説します。
1.非常勤スタッフは必ずしも採用しやすいとは限らない
「常勤よりも非常勤の方が採用しやすい」と考える院長もいるかもしれません。しかし、非常勤であれば簡単に採用できるとは限りません。
非常勤で働く人の場合、勤務地までの近さや時給、シフトの融通が利くかどうかといった勤務条件が、職場を選ぶ際の重要なポイントになりやすい傾向があります。
そのため、医院側が募集を出しても、条件が求職者の希望と合わなければ応募につながりにくくなります。特に「限られた曜日や時間だけ勤務してほしい」といった細かな条件を設けるほど、条件に合う人材を見つけることは難しくなるでしょう。
非常勤スタッフを増やせば採用問題を解決できるとは限らないことを理解しておく必要があります。
2.医院が求める時間だけ働ける人材は少ない
歯科医院では、「午前中は人が足りているので午後だけ働いてほしい」「夕方に患者様が集中するので夕方から勤務してほしい」といった採用ニーズが生じることがあります。
しかし、医院が不足している時間帯と、求職者が希望する勤務時間がちょうど一致するとは限りません。
実際にそのような条件で働いている人がいたとしても、同じ条件の人材を狙って採用できるとは限らないためです。特定の時間帯だけを埋めることを前提に採用活動を続けると、条件に合う応募者を待ち続けることになりかねません。
医院側の都合にぴったり合う非常勤スタッフを探すのではなく、人員配置そのものを見直す視点が必要です。
3.パッチワーク経営による負担が増える
非常勤スタッフを中心に人員配置を考えると、「火曜日の午前に働ける人」「木曜日の夕方に働ける人」といったように、不足している部分ごとにスタッフを探すことになります。
必要な時間を一つずつ埋めていくため、一見すると効率的に感じるかもしれません。しかし、それぞれのスタッフの都合を優先してシフトを組み続けると、パッチワークのようなつぎはぎの運営になってしまいます。
シフト調整が複雑になるだけでなく、欠員が出るたびに院長やほかのスタッフが対応しなければならない可能性もあります。
常勤スタッフ中心の運営をするには?

常勤スタッフ中心の運営では、非常勤スタッフをなくすのではなく、それぞれの役割を分けて考えることが重要です。
基本的な考え方は、以下の2つです。
- 常勤スタッフで基本の診療体制を整える
- 繁忙時間や不足部分を非常勤スタッフで補う
常勤と非常勤のどちらか一方に偏るのではなく、常勤スタッフを軸としながら非常勤スタッフの働き方を取り入れることで、人員配置を考えやすくなります。
常勤スタッフで基本の診療体制を整える
まずは、通常の診療を行うために必要な人員を常勤スタッフで整えることを基本とします。
常勤スタッフを中心に配置すれば、特定の曜日や時間帯ごとに勤務できる人を探してシフトをつなぎ合わせる必要が少なくなります。医院側も、基本となる人員を確保した状態で診療体制を考えられるようになります。
採用のたびに「空いている時間を埋められる人」を探すのではなく、常勤スタッフを軸に人員構成を考えることがポイントです。
繁忙時間や不足部分を非常勤スタッフで補う
常勤スタッフで基本の診療体制を整えたあと、患者様が多い時間帯や人員が不足する部分を非常勤スタッフで補います。
たとえば、特定の時間帯に患者様が集中する場合、その時間に非常勤スタッフを配置すれば、必要なときに人員を増やすことができます。ユニットの稼働を調整しやすくなり、患者様への対応にも活かせるでしょう。
このように、非常勤スタッフは医院運営の中心としてではなく、常勤スタッフだけでは不足する部分を補う存在として考えることがポイントです。
「非常勤スタッフ」という存在の重要性
常勤スタッフを中心に考えるからといって、非常勤という働き方を否定するわけではありません。
子育てや介護などの事情から、限られた時間で働くパートタイム勤務を必要とする人はいます。また、副業が一般的になりつつあるなかでは、さまざまな勤務形態を選べることにも意味があります。
重要なのは、雇用形態によってスタッフに差をつけることではなく、歯科医院の経営やユニット稼働をどのような人員構成で支えるかという点です。
非常勤スタッフの存在を大切にしながらも、医院運営の土台は常勤スタッフで整え、不足する部分を非常勤スタッフが支える形を目指すことが重要です。
常勤スタッフを採用するためのポイント
「常勤が採れないから非常勤で埋めている」という歯科医院も多いでしょう。しかし、常勤の応募が集まらない原因は、常勤という働き方そのものではなく、勤務条件にあることがほとんどです。
たとえば、以下のような見直しで常勤の応募は変わります。
- 診療時間と勤務時間を分け、早番・遅番のシフト制にする
- 週休2.5日や週休3日など、休日を増やした常勤枠をつくる
- 残業が発生しない人員体制にする
- 賞与や手当ではなく、月給を高めに設定する
「フルタイム・長時間・残業あり」だけが常勤ではありません。働きやすい常勤の枠をつくることで、これまで非常勤を選んでいた人材が応募してくる可能性もあります。
まとめ|安定した歯科医院経営には人員構成の見直しが重要
非常勤スタッフは、限られた時間に働ける人材として歯科医院にとって大切な存在です。一方で、非常勤スタッフを中心に医院を運営すると、勤務希望に合わせて複雑なシフトを組んだり、特定の時間だけ働ける人材を探し続けたりする必要が生じます。
採用がうまくいかない場合は、応募者を増やす方法だけを考えるのではなく、現在の人員構成そのものを見直してみることも大切です。
基本の診療体制は常勤スタッフを中心に整え、患者様が多い時間帯や不足する部分を非常勤スタッフで補う形にすると、人員配置を考えやすくなります。
常勤・非常勤それぞれの働き方を尊重しながら、医院経営の軸をどこに置くかを整理することが、安定した歯科医院運営につながるでしょう。
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この記事を書いた人
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