採用に成功している歯科医院の福利厚生とは?2つのポイントで徹底解明

2026.08.19

歯科医院の採用では、福利厚生を充実させれば求職者に選ばれやすくなると考えている院長・経営者の方も多いでしょう。しかし、制度を増やしたり、選択肢を多く用意したりするだけでは、必ずしも応募につながるとは限りません。

 

特に、選べる制度が本当に求職者にとって魅力になるのか、社保完備でなければ採用で不利になるのかは、福利厚生を考えるうえで押さえておきたいポイントです。

 

この記事では、求職者が医院選びで重視していることを踏まえながら、採用につながる福利厚生の考え方や伝え方について解説します。

歯科医院の福利厚生|よくある2つのお悩み

歯科医院の採用では、福利厚生について「選べる制度を用意した方がよいのか」「社保完備でなければ採用で不利になるのか」と悩む院長・経営者の方もいるでしょう。

特に、よくある悩みとして以下の2つが挙げられます。

 

  1. 「選べる制度」は効果なし?
  2. 「社保完備でない医院=ブラック歯科医院」と思われる?

 

一見すると、選択肢が多いことや社保完備であることは求職者にとって魅力的に思えますが、必ずしもそれだけで医院が選ばれるわけではありません。

ここからは、この2つの悩みについて詳しく紹介します。

 

1.「選べる制度」は効果なし?

「週休2日と週休3日を選べる」「毎月のシフトをスタッフ同士で自由に決められる」といった制度は、一見すると自由度が高く魅力的に見えます。

 

しかし、このような「選択の自由」が必ずしも求職者にとってメリットになるとは限りません。選択肢を増やすことでかえって判断が難しくなり、応募をためらう原因になる場合もあるためです。

 

採用では、選択肢の多さよりも医院の特徴を明確に伝えることがポイントになります。

 

現代の歯科衛生士によくある特性

現在の20代・30代の歯科衛生士の中には、自分の意思で何かを選択する経験が少なく、何かを選ぶこと自体が得意ではない人も少なくありません。

たとえば、歯科衛生士になった理由として「親に勧められたから」と答える人もいます。また、歯科衛生士養成学校では、厳格な規律や教員の指示のもとで学習生活を送り、実習などで忙しく、アルバイトや自由な時間を十分に持てないこともあります。

 

このように、自分で選択する機会が少ない環境で過ごしてきた人にとって、「どちらでも好きな方を選んでください」と判断を委ねられることは、かえって負担になる場合があります。そのため、「自由に選べること」がそのまま求人の魅力になるとは限りません。

 

選択の自由が負担になってしまうケース

求職者に自由な選択肢を用意したとしても、選ぶこと自体に迷ってしまえば、かえって応募のハードルを高める可能性があります。

たとえば、人を食事に誘う場合も、「何が食べたい?」と相手に委ねるより、「おいしいイタリアンのお店に行かない?」と具体的に提案した方が、相手は内容をイメージしやすく、答えやすくなります。

 

求人でも同様に、「週休2日と週休3日から選べます」とするより、「当院はこのような働き方です」と条件を明確に示した方が、求職者は判断しやすくなります。

選択肢を与えること自体が悪いわけではありません。ただし、「選択できること」を福利厚生の魅力として前面に出すのではなく、医院の特徴や条件をシンプルに伝えることが大切です。

 

2.「社保完備でない医院=ブラック歯科医院」と思われる?

歯科医院の求人では、「社保完備」という言葉を多く見かけます。ここでいう社保完備とは、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険を完備していることです。

かつては社会保険に加入していない医院も多く、「社保完備」は大きな魅力の一つでした。現在では、医院の規模や経営状況にかかわらず一般的な条件として求められるようになっており、歯科衛生士養成校でも「社保完備でない医院=ブラック歯科医院」と教えるケースもあるとされています。

 

そのため、社保完備ではない医院では、採用に不安を感じる院長も少なくないでしょう。しかし、社保完備ではないからといって、スタッフの採用を諦める必要はありません。

 

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社保完備に対する一般的な認識と求人の実情の違い

「社保完備でなければ応募が来ない」と思われがちですが、一般的な認識と実際の求人には違いがあります。

 

主な理由は以下の3つです。

 

  1. 求職者の多くがそもそも「社保完備」の意味を理解していない
  2. 「社保完備」という福利厚生そのものに魅力を感じていない
  3. それ以上にほかの要素が医院選びにおいて重要視されている

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

1.求職者の多くがそもそも「社保完備」の意味を理解していない

求職者の中には、「求人を選ぶなら社保完備の医院がよい」と考えていても、社会保険や年金制度の内容まで詳しく理解していない人もいます。

たとえば、国民年金と厚生年金の違いや、国民健康保険・健康保険組合・歯科医師国保それぞれのメリット・デメリットについて、明確に説明できる人は多くありません。

 

つまり、「社保完備は必要」というイメージを持っていたとしても、その必要性や制度の違いまで理解したうえで判断しているとは限らないということです。

 

2.「社保完備」という福利厚生そのものに魅力を感じていない

社会保険について理解している人の中にも、社保完備を大きな魅力だと感じない人がいます。

その理由の一つが、社会保険料や厚生年金の負担によって手取りが減ることへの懸念です。社会保険への加入よりも、手元に残る給与を増やし、自分で将来に備えたいと考える人もいます。

 

そのため、必ずしもすべての求職者が「社保完備であるほど魅力的」と考えているわけではありません。福利厚生をアピールする際は、医院側がよいと思っている制度を並べるだけではなく、求職者がその条件をどのように受け止めるのかを考える必要があります。

 

3.それ以上に他の要素が医院選びにおいて重要視されている

求職者が医院を選ぶ際は、社会保険の有無だけで判断しているわけではありません。

福利厚生以上に「休暇」「勤務時間」「給与」「勤務地」などの条件を重視する人も多くいます。

これらの勤務条件が求職者の希望を上回っていれば、社保完備でなくてもそれほど気にしないケースがあります。

 

つまり、社保完備であることは理想的な条件の一つではあるものの、それだけが医院選びの決め手ではありません。自院が社保未完備だからといって採用を諦めるのではなく、そのほかの条件も含めて医院の魅力を整えることが重要です。

 

社保完備ではない歯科医院が応募数を増やすには?

社会保険が完備されていない場合は、その分のマイナスをほかの条件で補うことが重要です。

その方法の一つとして、「社保手当」を支給する方法があります。

制度そのものだけを見るのではなく、求職者にとってどのようなメリットがあるのかまで具体的に伝えることで、社保未完備であることへの不安を和らげやすくなります。

 

「社保手当」の支給という提案

「社保手当」として、医院が本来負担する社会保険料に相当する金額をスタッフに支給する方法があります。

たとえば、基本給22万円+衛生士手当6万円で月給28万円という給与体系であれば、社保手当として2万円を加え、月給30万円にするという考え方です。

 

社会保険がないことをそのままマイナスとして残すのではなく、手当として補うことで、求職者に別のメリットを提示できます。

また、医院が拡大して常時雇用するスタッフが増え、社会保険に加入することになった場合は、そのタイミングで社保手当を廃止すれば問題ありません。

 

アピール方法の例

手当を用意する場合は、求人票に金額だけを記載するのではなく、なぜその手当を支給しているのかまで伝えることが大切です。

たとえば、以下のように説明できます。

 

「当院は厚生年金に代替して、スタッフ自身がiDeCoなどの年金制度を自由に選択・加入できるように、年金手当として毎月2万円を現金で支給しています」

 

このように伝えれば、「社保完備ではありません」とだけ記載する場合よりも、医院側がどのような考えでスタッフの待遇を設計しているのかが伝わりやすくなります。

 

社会保険が完備されていることが理想的ではありますが、それだけが医院の魅力ではありません。医院の実情に合わせて別の条件を整え、その意図まで適切に説明することが、応募者の安心につながります。

 

まとめ|伝え方・考え方の工夫で採用の成功へ

歯科医院の福利厚生では、制度や選択肢を増やせば採用につながるとは限りません。

「週休2日と週休3日から選べる」といった制度も、求職者にとっては判断の負担になる場合があります。多くの選択肢を用意するより、医院の働き方や条件を明確に伝えることが大切です。

また、社保完備でなくても、休暇・勤務時間・給与・勤務地などの条件を整えることで、十分に採用を目指せます。

福利厚生そのものの数や豪華さだけで勝負するのではなく、自院の条件に合った制度を設計し、そのメリットを求職者にわかりやすく伝えることが、採用成功につながるポイントです。

 

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