歯科衛生士の雇用・採用はなぜ難しい?理由を知って採用を成功させよう
2023.03.08歯科衛生士の採用や雇用で困っている医院は非常に多く存在しています。
歯科衛生士は資格が必要な仕事なので、そもそも働くことができる人材が少ないのも採用が難しい理由の1つ。
さらに、歯科衛生士は離職率が高い職業であることも知られています。
そんな中で歯科衛生士をしっかり雇用して医院を運営していくには、採用が難しい理由や継続雇用が難しい原因を知って、改善していく必要があるでしょう。
この記事では、歯科衛生士の雇用・採用にお困りの方に向けて、歯科衛生士が職場に求める要素などを紐解いて、働きたい職場の条件や採用方法についてご紹介します。
歯科衛生士の離職率・転職回数
歯科衛生士の勤務実態調査によれば、歯科衛生士の4人のうち3人が転職経験者が占めています。これは非常に高い転職率で、定着率が低い職業だといえるでしょう。
さらにアンケート結果を見ていくと、転職している5人に1人は転職回数が4回以上となっています。短期間での転職は、医院としては何度も採用コストをかける必要があるため、無視できる問題ではありません。
歯科衛生士の多くは女性であるため、結婚や出産といったライフスタイルの変化によって転職や離職の割合が増えてしまうのは、ある程度仕方のないことです。
しかし、それを加味しても非常に転職率が高いため、なるべく長期的に働いてくれる人材を採用することが重要になってきます。
歯科衛生士の採用が難しい理由とは
歯科衛生士の採用が難しいのには、いくつかの理由があります。
採用がうまくいかない理由を知って、医院側で改善できる部分は改善することで歯科衛生士に働きたいと思ってもらえるように準備しましょう。
求人倍率が非常に高い
まず根本的な問題として、歯科衛生士の求人倍率は非常に高く、一般的な職業と比べると採用の難しさが跳ね上がります。
常に競合の医院と人材の奪い合い状態になるため、自院によほどの魅力がない限り、採用は難しいといわざるを得ません。
新卒求人の場合だとなんと有効求人倍率は20倍を超えていますから、どこの医院でも採用は難しい状況となっています。
また、仮に人材を採用できたとしても、他に条件の良い医院があれば短期間で転職されてしまう可能性も高いです。
まずは、長期的に働いてもらえるように待遇や職場環境を整えていく必要があります。
他医院との差別化が難しい
歯科医院の数は非常に多く、コンビニの店舗数よりも多いなどといわれています。
また、歯科衛生士は国家資格であり、行って良い仕事の範囲は法律で決められているため、どこの医院で働いても仕事内容はさほど変化しません。
もちろん医院によって雑務など多少の差はありますが、医院の数自体はたくさんあるのに仕事内容がほぼ同じということは、差別化が非常に難しい状況といえます。
採用媒体を活用できていない
数ある医院の中から歯科衛生士に選んでもらうためには、求人情報の適切な露出が必要です。
もちろん求人に使える資金には限りがあるため、むやみに使えばよいわけではありませんが、そもそも求人情報を歯科衛生士に届けなくては採用はできません。
特に、歯科衛生士にとって仕事内容はどこでも大差ないわけですから、制度の充実や人間関係など働きやすさに直結する部分をしっかりとアピールすることが重要です。
採用媒体をうまく活用することで、給与などの最低限の情報だけでなく、どのような医院なのかを伝えることが求人募集の際に求められます。
歯科衛生士の継続雇用が難しい理由とは
歯科衛生士は採用自体も難しいのですが、継続雇用することも難しくなっています。
5年以下で転職してしまうケースが全体の4割ほどとなっており、歯科衛生士は非常に定着率が低い職業です。
この定着率の低さは歯科衛生士特有の問題も含まれるため、長期的に継続雇用するためには問題点を改善していく必要があります。
ここからは、歯科衛生士の継続雇用が難しい理由について詳しく見ていきましょう。
女性が働きやすい環境が整っていない
歯科衛生士の99%は女性というデータがあるため、長期的に継続雇用するためには女性が働きやすい環境を整えることが大切です。
特に、結婚や出産・育児によってライフスタイルが変化した場合に対応できるような制度が必要となるでしょう。
育児と仕事の両立は非常に難しいため、辞めざるを得ないケースは非常に多くなっています。制度が充実していれば現在雇用している歯科衛生士にとって良いだけでなく、将来的に出産の予定のある人材も確保しやすくなるというメリットもあります。
また、出産によって退職した歯科衛生士が復職する場合、復職をサポートできるような体制もあれば、より定着率は上がるでしょう。
労働環境が整っていない
歯科医院は女性の多い職場になるため、労働環境の中でも特に残業に関しては気を遣う必要があります。特にお子さんのいるスタッフがいる場合は、子育てと仕事を両立するうえで、頻繁に残業がある職場では働き続けることは難しいです。少なくとも子どもがいるスタッフに対しては、残業がないような労働環境を整える必要があるでしょう。
また、当然ですが残業以外にも労働基準法を守ることは必須です。歯科衛生士はどこの歯科医院でも求めている人材なので、労働基準法を守っていないような医院ではすぐに転職されてしまいます。
この他にも福利厚生を充実させることで、歯科衛生士の継続雇用につながります。
人間関係の不満が発生しやすい
歯科衛生士の職場を変えた理由として非常に大きなウエイトを占めるのは、人間関係のトラブルによるものです。
院長からのパワハラやセクハラをはじめ、スタッフ同士のトラブルで転職するケースなども非常に多くなっています。とくに小さな個人医院などでは密に人と接する必要があるため、コミュニケーションが円滑に行える工夫は必要でしょう。
院長自身がトラブルの原因のケースは対応を改めるだけで解決できますが、スタッフ同士のトラブルは、マネジメントをしっかり行わないと解決できません。
定期的にスタッフの話を聞く機会を設けるなどの対応をしていくことをおすすめします。
歯科衛生士の採用方法とは
実際に歯科衛生士を採用しようと思った場合、その求人方法は1つではありません。
効果的な求人方法は求める人材によって異なる事もありますが、まずは採用方法にはどんなものがあるのかを知る必要があります。
採用方法ごとにメリットが異なるので、それを知ったうえで実際にどの方法で求人を出すか考えましょう。
ここからは、歯科衛生士の採用方法とその特徴について解説していきます。
ハローワークを利用する
求人といえば、一般的にまずはハローワークの活用が浮かびます。ハローワークは利用が無料なため、医院としても求人情報を出さない理由はありません。
基本的にハローワークでの求人は地元の人材へリーチしやすいです。特に子育てをしながら働きたい歯科衛生士は勤務地が遠いことを嫌いますから、ハローワークで求人情報を出すのは地元の歯科衛生士を採用したいケースにとても向いています。
紙媒体に求人掲載をする
紙媒体に求人を掲載するという方法は、近年だとメインからは外れつつあります。
たとえば新聞の折り込みチラシや求人情報誌などが挙げられますが、インターネットの普及が進んだ現代では、圧倒的にスマートフォンやパソコンから求人を探すユーザーが多いため、これを主力の求人方法にするのは向いていません。
しかしメリットがないわけではなく、紙媒体の求人は地域性が高いため、地元に強く求人情報をアピールできます。
育児が一段落した地元の歯科衛生士へうまくアピールすることができれば、人材を採用できる可能性があります。
ただし、紙媒体では表示できる情報量に限りがあるため、歯科衛生士の求人に向いているとはいえません。紙媒体への求人掲載は、他の方法と平行して出す形をおすすめします。
ウェブ媒体を活用する
近年では、求人情報を発信するのにウェブ媒体は無視できません。
仕事を探している側もウェブで調べている事が多いため、歯科衛生士の求人情報もウェブ媒体に掲載する必要があるでしょう。
ウェブであれば基本的に掲載する情報量に制限はありませんから、細かな条件や用意している制度まで記載できます。
ウェブ媒体にもいくつかの種類があるため、それぞれの特徴を踏まえて活用していくことで、求めている人材を採用しやすくなるでしょう。
ここでは、ウェブの求人媒体で一般的な「求人・転職サイト」と「求人検索エンジン」の特徴をご紹介します。
求人・転職サイト
求人サイトや転職サイトへの求人情報の掲載は、非常に有効な手段の1つです。
求人情報を掲載できるだけでなく、条件にマッチしたユーザーをこちらからスカウトする機能もあります。
運用するにあたってそれなりにお金がかかるケースはありますが、積極的にアプローチできるため、歯科衛生士を採用しやすい方法であることは間違いありません。
求人や転職のサイトには専門性の高いものも存在しているため、そういったサービスを活用することで、より歯科衛生士にフォーカスした求人情報を届けることができます。
求人検索エンジン
求人検索エンジンは、求人サイトとは異なり、求人情報を自分で配信することになります。
主にIndeedなどが挙げられ、有料で求人広告を配信することで求職者の目に止まりやすくするものです。
自分で情報を配信するため非常に自由度が高く、スピーディに情報を出すことができるのがメリットでしょう。
ただし全体の求人情報数は膨大なので、うまく運用しないと他の求人情報に埋もれてしまう可能性もあります。
データ分析などを行うことで効率的に情報を提供できる可能性がある一方で、それなりに知識がなければ有効活用することが難しい、上級者向けの求人方法ともいえるでしょう。
ウェブ媒体を利用して採用を行う方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
歯科衛生士が応募したくなる「求人タイトル」の作り方【グッピー・ジョブメドレー対応】
【例文付き!】歯科衛生士へのスカウトメール書き方ガイド|応募率UPのコツや、送るべき時間帯も解説!
就業条件を見直す
人材が集まらない場合のよくある間違いが、給与だけ上げるというパターンです。
もちろん給与面が良くなれば新たな人材が採用できる可能性は上がりますから、全くの無駄というわけではありません。
しかし、給料だけを上げても、職場の働きやすさや労働環境が整っていなければ、せっかく採用した人材の早期退職につながるでしょう。
歯科衛生士が集まらない理由は給与以外の部分にあることも多いです。
求められている就業条件のトレンドは常に変化しているため、やみくもに給与を上げれば良いという考えは捨てて、柔軟に対応していかなければ新規の採用は難しいでしょう。
求人のトレンドを踏まえて、どの条件を見直せば効率的にアピールできるかを考えることが大切です。
自院ホームページで応募者にアピールする
多くの歯科医院では、自院のホームページを用意していると思います。
せっかくホームページがあるのであれば、それを活用して応募者にアピールするのも効果的です。歯科医院のホームページは患者さんが見ることが多いので、採用LPを用意して、自院の採用情報を伝えることで歯科衛生士を集められる可能性があります。
もちろんホームページだけでなく、SNSなども運用しているのであれば、そちらで情報発信するのも効果的です。
SNSの運用は難しい反面、うまくはまれば競合の医院と大きく差別化できます。
歯科衛生士学校・養成所へ求人票を出す
歯科衛生士の新卒に対する有効求人倍率は20倍と非常に高いため確実性は低いですが、歯科衛生士学校や養成所へ求人票を出すことは無駄ではないため、他の求人方法と平行して行うことで十分に効果があるでしょう。
ここまで競合の医院との差別化が難しいと説明してきましたが、新卒をサポートする制度などを用意できれば、非常に魅力的な求人になる可能性もあります。
人材紹介サービスを活用する
人材紹介サービスを活用することで、紹介サービスに登録している歯科衛生士を紹介してもらうことができます。
人材紹介サービスの中には歯科に特化したサービスもあるので、効率的に採用することができるでしょう。
実際に採用に至るまでは基本的に費用がかからないことがほとんどですが、初期費用や採用の段階まで進むと大きな手数料がかかってしまうことは間違いありません。
採用代行サービスを活用する
近年は、採用代行サービスも非常に有用になってきました。
ここまでさまざまな採用方法を紹介してきましたが、通常の業務に加えて採用の管理をするのは非常に手間がかかります。
また、求人方法によっては運用に専門の知識が必要な部分もあるため、難解になっているのも事実です。
採用代行サービスでは、採用にまつわる管理や運用をまとめて代行してくれます。採用に関する管理が難しいと感じる場合、うまく活用すれば手間とコストを削減できる可能性が高いです。
内定辞退のリスクを減らすには?
人材を採用する際に内定を出したとしても、安心するのは少し早いです。
内定を出した段階では、まだ内定辞退をされてしまうリスクが存在しています。
せっかくコストをかけて内定まで出したのに、辞退されてしまっては全て無駄になってしまいますよね。
内定辞退のリスクを減らすためには、書面をしっかりと用意することが必要になります。
内定通知は必ず書面で行う
内定通知には、これといったルールは存在していません。そのため電話などの口頭で行うケースもありますが、内定辞退のリスクを下げるためには内定通知を書面で行うことが効果的です。
この内定通知は書面で用意しても法的な効力はありませんが、やはり心理的に辞退しにくくなるのは間違いなく、辞退のリスクを下げることができます。
また、通知そのものには法的な効力がなくても、内定自体には労働契約としての効力があるため、書面で通知することで証拠として残すことができるのもメリットです。
雇用契約書は入職当日中までに締結する
雇用契約書についても法的には用意する必要はなく、口頭でも問題はないとされています。
しかし、雇用契約書には労働条件などが記載されているため、これを用意していなければ後々トラブルになってしまう可能性があります。
そうしたトラブルを避けるためにも、雇用契約書は入職当日中までに用意して締結しておくことが望ましいです。
ただでさえ採用が難しい歯科衛生士の雇用ですから、なるべくトラブルに発展しないようにしっかりと書面に残しておくことをおすすめします。
雇用契約書については、こちらの記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
【医院向け】「労働条件通知書」と「雇用契約書」についての解説〜歯科衛生士・歯科助手・歯科医師共通〜
採用方法を見直して定着率・経営安定につなげよう
歯科衛生士の定着率を高めるためには、働きやすい環境を作るということは大前提ですが、そのうえで採用方法を見直す必要があります。
いくら働きやすい環境があっても、求人情報が届かなければそもそも採用することが難しいですし、人材不足が続けば働きやすい職場を維持することも難しくなるでしょう。
また、採用情報の見せ方によって地元に住んでいて長期的に働きたいと考えているような人材をうまく惹きつけることができれば、定着率を上げることができます。
採用方法を見直し、場合によっては採用代行サービスなどをうまく使うことで、歯科衛生士の定着率を上げて医院の経営を安定させましょう。
歯科衛生士の採用でお困りならデンタルHR総研
採用方法を見直すといっても、歯科は採用の専門家ではありませんから、どうしても難しい部分も出てくるでしょう。
さらに、求人媒体をしっかりと運用するには手間もかかるため、採用業務に追われて働きやすい職場作りがおろそかになってしまってはいけません。
採用活動が負担になっている、なかなか思うような人材が採用できないとお悩みの方は、採用代行サービスを活用するのがおすすめです。
デンタルHR総研は歯科に特化した採用代行サービスで、採用が決まるまで費用がかからない成功報酬型、採用した歯科衛生士が早期退職してしまった場合は全額返金とサポートが整っています。
採用代行サービス自体はたくさん存在していますが、専門性の高い職業の場合は、その職業に特化した採用活動を行う必要があるでしょう。歯科衛生士の採用にお悩みの方は、専門であるデンタルHR総研に相談するのが最も効率的です。
応募がきやすい求人原稿の作成や、反応率の高いスカウトメールの送信、応募者対応や日程調節など、手間のかかる採用活動を医院に代わってサポートいたします。
お気軽にデンタルHR総研までお問い合わせください。
まとめ
売り手市場で定着率の低い歯科衛生士の採用は、どこの医院でも難しい状況にあります。
しかし、歯科衛生士が求めている職場環境を把握して改善していくことで、採用のしやすさや定着率を飛躍的に高めることができるでしょう。
働きやすい職場を作ることができたら、求人媒体でアピールする必要があります。採用方法を見直して採用代行サービスなどを利用することで、効率的に情報発信を行い、自院の魅力を最大限アピールしましょう。
歯科衛生士を採用、継続雇用することで、安定した経営につながります。
この記事を書いた人
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