【歯科医院の求人票の書き方】成功する求人のポイントと具体例

「なかなか良い人材に出会えない」「求人を出しても反応が薄い」ーそう感じていらっしゃる院長先生も多いのではないでしょうか？
以前は求人を出せばある程度の応募がありましたが、いまや状況は大きく変わっています。 求職者が医院を選ぶ時代において、ただ募集をかけるだけでは足りません。

では、どうすれば「ここで働いてみたい」と思ってもらえる求人票を作れるのでしょうか？
この記事では、求職者の視点に立ち、効果的な求人票の作成方法をわかりやすくお伝えします。 成功事例もご紹介しながら、院長先生が抱える採用の悩みに、少しでもお力添えできればと思います。

1，求人票作成の前に考えるべきこと

採用を考える上で大切なのは、まず「市場の現状をしっかりと理解すること」です。 求職者が何を大切にし、どんな情報を求めているかを意識することで、求人票の伝わり方が変わってきます。

2−1．ターゲットを明確にする

求人票の書き方は、どのような人をターゲットにするのかで、表現方法や伝えるべき内容が変わってきます。具体的にターゲットを明確にすることで、求職者が「自分のための求人だ」と感じ、応募意欲を高めることができます。

新卒・若手未経験者向け

新卒や若手の未経験者をターゲットにする場合、教育研修制度の充実や、具体的にどのような経験を積んでどんなスキルやキャリアを身につけられるのかが重要です。成長意欲の高い若手に対しては、将来的なキャリアパスやステップアップの可能性を明示することで安心感を与えられます。

例文：

「未経験からでも安心。しっかりした研修と先輩スタッフのサポートで、確実にスキルを磨けます。」

「成長意欲のある方を歓迎！働きながら資格取得や専門知識を深めるチャンスがあります。」

ベテラン・経験者向け

経験豊富なベテラン層をターゲットにする場合、自分のこれまでのキャリアやスキルがどのように活かせるのかを具体的に伝え、給与や待遇面でその経験がどのように評価・反映されるのかを明確にすることが大切です。

例文：

「あなたの豊富な経験を高く評価します。給与や待遇にしっかり反映される環境があります。」

「培ってきたスキルを存分に活かせるフィールドがここにあります。」

正社員向け

正社員を採用する場合は、安定感や長期的なキャリア形成につながる福利厚生、社会保険、昇給・賞与制度など、正社員ならではのメリットや安心感を具体的に伝えることが求められます。

例文：

「充実した福利厚生と安定した給与体系で、長く安心して働ける環境を整えています。」

「正社員としてキャリアアップを目指せるサポート体制が充実しています。」

パート・非常勤向け

パート・非常勤で働きたい方に向けては、シフトの融通性、突発的な休みへの理解や対応力、働きやすさを明確に伝えることがポイントになります。

例文：

「シフトは柔軟に調整可能。お子さまの急な体調不良や学校行事など、急なお休みにも理解ある職場です。」

「週2日から勤務可能。ライフスタイルに合わせた働き方を応援しています。」

年代別・ライフスタイル別

年代やライフスタイルによって求職者が気になるポイントも変わります。若い世代であれば給与以上にプライベートの時間を重視する傾向があり、休日数や勤務時間の明確さ、働き方の柔軟性などを伝えることが効果的です。

また、結婚・出産が早い地域では、子育て支援制度の有無や実績、産休育休取得の実績、急な休みの取りやすさなども重要になります。

さらに、シングルマザーの場合は給与面や社会保険の種類（歯科医師国保か協会けんぽか）、保険料の医院負担の有無など、経済的安定を支える要素を具体的に伝えることが求職者の安心感につながります。

例文：

若い世代向け：「プライベートも大切に。年間休日120日以上、有給取得率100％を目指しています。」

子育て世代向け：「子育て中のスタッフ多数活躍中。産休・育休取得実績あり、急なお休みにも理解があります。」

シングルマザー向け：「安定した給与体系と充実した社会保険完備で、経済的にも安心して働けます。」

求人票は、ターゲットの背景や気持ちをしっかり理解した上で、「自分に向けて書かれている」と感じてもらえる表現を心がけましょう。

「全部欲しい」は結局誰にも届かない

いちばん避けるべきなのは、「新人もベテランも、正社員もパートも、誰でも歓迎です」と、ターゲットを広げすぎてしまうことです。

一見、間口を広くした方が応募が集まりやすいように感じるかもしれませんが、実際には誰にも刺さらない曖昧なメッセージになり、結果として応募が集まりにくくなってしまいます。

ウチは「うどんもラーメンもパスタもなんでも美味しいです」というお店よりも、「塩ラーメン1本で勝負しています」というお店の方が人気が出る時代です。

求職者にとって「この医院は私のことを考えてくれている」と思ってもらえることが、応募への第一歩なのです。

2.2 信憑性とリアリティを意識する

最近の求職者は、求人情報の“本当かどうか”にとても敏感です。少しでも違和感やズレを感じると、「ちょっと不安かも」と応募を控えてしまうケースもあります。

歯科医院の求人では、少しでも多くの母集団を稼ぎたいと、事実よりも少しだけ“盛って”しまう傾向が見られます。

たとえば、以下のようなケースがよくあります：

• 「駅チカ徒歩8分」 ⇒ 実際は女性の足で歩くと10分以上かかる
• 「5人の先輩衛生士がサポート」 ⇒ 実際は3人しかいない
• 「勤務時間：9:00〜」 ⇒ 実際は8:45に出勤している
• 「社会保険完備」 ⇒ 実は試用期間中は未加入
• 「人間関係が良い職場です」 ⇒ 実は1人問題のあるスタッフがいて、新人が定着しない原因になっている

このように「ウソ」とまではいかない“盛り”であっても、応募は一時的に増えるかもしれませんが、面接や内定の段階で「書いてあることと違う」と辞退されたり、仮に採用に至っても「思っていたのと違った」と早期離職の原因になるリスクが高まります。

今の時代に求められているのは、信憑性とリアリティです。

若い世代はInstagramなどのSNSを通じて情報を得ることが多く、盛られた情報や加工された写真よりも、芸能人のすっぴん投稿のような「リアル」で「素の姿」が好まれる傾向にあります。

求人においても、誠実で正確な情報発信が信頼につながる時代です。

たとえば駅から実際に12分かかる場合、無理に「徒歩8分」と書くのではなく、

「駅から徒歩12分。少し歩きますが、落ち着いた住宅街にあり、通勤時のリフレッシュにもなります。」

といったようにリアルに、かつポジティブな視点で伝える方が、歩いてみて「思ったより近かった」と信頼感が高まりやすくなります。

誠実に、正確に伝えること。それが信頼につながり、結果として長く働いてくれる人とのご縁を生むのです。

2. 求人票の基本構成と書き方

求職者が安心して応募できるよう、求人票は必要な情報を過不足なく、かつわかりやすく伝えることが大切です。この章では、基本的な構成とそれぞれの書き方のポイントをご紹介します。

3.1 求人タイトル（最重要ポイント）

求人票の中で、最も目を引くのがタイトルです。ここで関心を引けなければ、他の内容を読んでもらうことすらできません。

悪い例：
「歯科衛生士募集」
「やりがいのある職場です」

良い例：
「【週休2.5日／社保完備】ブランクOK！丁寧な教育がある歯科衛生士募集」
→ 具体的な勤務条件やメリットを入れ、目に留まる表現にしましょう。

3.2 仕事内容

「診療補助」などのひと言では、実際にどんな仕事をするのかが見えてきません。業務の詳細や1日の流れを具体的に書くことで、働くイメージが湧きやすくなります。

記載例：
・スケーリング、TBI、SRPなどの診療補助
・予防歯科のカウンセリング
・ホワイトニング施術
・診療補助あり（20％程度）／受付業務なし

※ 可能であれば、「1日のスケジュール」や「スタッフの1日紹介」などもあると親しみが増します。

3.3 勤務時間・給与・福利厚生

勤務条件や待遇は、求職者が最も注目する部分です。ここをあいまいにすると、不安を感じて応募に踏み切れません。

悪い例：
勤務時間：9:00～18:30
休日：週休2日（日曜＋他1日）
給与：月給25万以上
福利厚生：社会保険完備、交通費全額支給（規程あり）

→ これでは曖昧すぎて伝わりません。スタッフはもっと細かい情報まで気になっています。

良い例：
勤務時間：
・9:00〜13:00／14:30〜19:00（休憩1.5時間）
休日：
・週休2日（日曜＋他1日＋祝日）
※ 他1日は平日で好きな曜日を選べます。その曜日は入職時に本人の希望を聞いて相談の上、決定します。
※ 祝日振替出勤なし。祝日がある週は日曜＋他1日＋祝日休みと週休3日になります。
※ その他、夏と冬休みは各5日（年によって変わります）とゴールデンウィークは祝日＋場合によって他の日も休みとして大型連休することがあります。
福利厚生：
・社保完備（歯科医師国保、厚生年金、雇用、労災、賠償責任保険）※歯科医師国保は半額を医院で負担します。
・交通費支給（上限2万円／月）

→ 少なくともこれくらい詳しく記載してあげる必要があります。すると実際の働き方を想像できて応募がしやすくなります。

さらに、柔軟な働き方にも言及すると好印象です：
「時短勤務も相談OK」
「週3日から勤務可能」

3.4 職場環境・特徴

職場の雰囲気や人間関係は、求人票では伝わりにくい部分ですが、実は求職者がとても気にしているポイントです。スタッフの声や院内写真なども活用して、「どんな人たちが働いているか」「どんな空気感の職場か」を伝えましょう。

記載例：
・「当院はユニット4台で一日おおよそ35名程度の患者さんが来院します。患者年齢層は成人50％、こども40％、高齢者10％とこどもの比率が多いため、子供が好きという方にぴったりの職場です。院長は現在54歳で、性格はおっとりしてやさしい。面倒見がよく、スタッフからも下の名前で呼ばれるなど、スタッフからの人気も高い方です。」
・「スタッフはみんな仲が良く、月1回の勉強会でスキルアップを応援し合っています」
・「20代～40代の幅広い年齢層が在籍。長く働きやすい落ち着いた雰囲気です」

→ このように、なるべく詳しく、リアルな情報を書いてあげるのがコツです。

3．成功する求人票のチェックリスト

求人票を作成したら、以下の項目をチェックしてみましょう。

✅  ターゲットに合った内容になっているか？

✅  誇張や不正確な表現はないか？

✅  勤務条件や待遇が具体的に書かれているか？

✅  職場の雰囲気が伝わる工夫があるか？

求人票は、単なる「お知らせ」ではなく、医院と求職者の最初の出会いの場です。
読み手の気持ちに寄り添い、「ここでなら働けるかもしれない」と感じてもらえるような、温かみのある求人票を作っていきましょう。
少しの工夫と丁寧さで、きっと結果は変わってきます。

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