歯科衛生士の平均給与は?適した給料設定で採用につなげよう

2023.12.01

歯科医院にはかかせない存在である歯科衛生士。
しかし、歯科衛生士の求人倍率は非常に高いのに加え、8割が転職経験があるという離職率の高い職業ということもあり、歯科医院では人手不足に悩みがちです。
歯科衛生士をなるべく退職させない、または確実に採用できるようにするために重要なのは給与です。
今回の記事では、歯科衛生士の平均給与と給与を上げるメリットについて説明していきます。
給与を設定する際のコツもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

歯科衛生士が最も重視するのは「給与」

歯科衛生士は、求人情報を確認する際に何を重視するのでしょうか。
令和元年日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態報告書」では、「現在の給与に満足していますか?」との問いに対して、「満足」と答えた割合は11.2%、「ある程度満足」と答えた割合は28.2%でした。
つまり、約4割の歯科衛生士が給与に満足していることになります。
しかし、その反面「不満」が25.6%、「非常に不満」が7.8%で、約3割が不満を抱えていることになります。
この調査の結果から、歯科衛生士の給与に対するウエイトが決して低くないことがわかります。
求人を出しても応募がこない、すぐ退職してしまう、といった場合は、給与と仕事内容のバランスに問題があるのかもしれません。

参照:令和元年日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態報告書」

歯科衛生士の平均給与

それでは、歯科衛生士の給与の相場はいくらなのでしょうか。
求人ボックス給料ナビによると、歯科衛生士の平均年収は約376万円、月給で換算すると31万円となっています。
アルバイト・パートでは平均時給1,336円、派遣社員では平均時給が1,494円という結果です。
正社員の給与分布で一番多いのは、平均年収の376万円を含む316万円から394万円のゾーン。

給与分布自体が316〜936万円と比較的幅があるため、勤務先の地域や規模、経験、スキルなどによって給与に差が出ると考えられます。
それでは、具体的にどのような差が出ているのでしょうか。
ここからは地域や年齢ごとに歯科衛生士の平均給与を見てみましょう。

参照:求人ボックス給料ナビ

地域ごとの平均給与

求人ボックス給料ナビによると、最も平均給与の高い地域は関東で、平均年収371万円となっています。
中でも東京都は399万円と最も高く、更に歯科衛生士の内約10%が東京都で働いているというデータもありました。
関東に次いで、関西、東海と続くことから、やはり大都市圏がある地域の平均給与が高いことがわかりますね。
最も平均給与の低い地域は北海道・東北の315万円、また最も平均給与の低い都道府県は鳥取県の284万円となります。
最も平均給与の高い東京都と最も低い鳥取県の給与の差は約100万円と大きく、地域によってかなりの給与幅があることがわかります。

職場の規模ごとの平均給与

また、職場にどのくらいの歯科衛生士が勤めているかによっても平均給与は変動します。
令和4年賃金構造基本統計調査によると、職場に勤めている歯科衛生士が10~99人であれば、平均給与374.6万円(平均賞与36.2万円)、100人~999人であれば405.9万円(平均賞与77.1万円)、1,000人以上であれば446.7万円(平均賞与89.7万円)という結果が出ていました。

職場の規模によっては、年収に100万円近くの差が出ることがわかります。

参照:e-Start「令和4年賃金構造基本統計調査」

年齢別の平均給与

歯科衛生士の平均給与は、年齢でも左右される傾向があります。
とはいえ、20歳から69歳の間で、平均年収300万〜450万円の間でゆっくりと上昇していく形になり、急激に年収が上がるということは少ないようです。
年齢を重ねても年収があまり増加しないことから、年齢とともに離職につながっているのではないでしょうか。

新卒の歯科衛生士の平均給与

令和4年賃金構造基本統計調査によると、新卒の歯科衛生士の平均初任給は23.37万円、平均年収は283.74万となっています。
歯科技工士の平均年収は242.81万円、栄養士の平均年収は252.99万円なので、それと比べると比較的高めの平均年収と言えるでしょう。
一般職と比べても、それほど低くない新卒初任給と言えます。

参照:e-Start「令和4年賃金構造基本統計調査」

歯科衛生士の平均賞与(ボーナス)は?

令和4年賃金構造基本統計調査によると、歯科衛生士の平均賞与は43.23万円です。
こちらの賞与額は、他の医療従事職と比較しても決して高いとは言えない額になります。
賞与額自体は基本給から計算されることが多く、歯科衛生士の給与は月収自体は多くとも基本給が低いケースが多いと推測されます。

歯科衛生士の給与の決め方は?

歯科衛生士の就職活動において最も重要なのは「給与」。
しかし、自院で適切な給与額を設定できているかには疑問が残りますよね。
ここからは、給与を設定する時に注意すべきポイントについて解説していきます。

  • 自分の医院のある地域の平均給与額を重視
  • 給与を高くしすぎない
  • 給与以外の強みを考える

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

自分の医院のある地域の平均給与額を重視

歯科衛生士の給与額は、最も高い都道府県と最も低い都道府県で約100万円の差があります。
これほどの地域差がある場合、単純に歯科衛生士全体の平均給与を参考にしてしまうと、給与が高すぎたり低すぎたりする可能性があります。

求人サイトを参考に、地元の他の歯科医院の大体の給与額を確認して、自分の医院の給与額を設定しましょう。

給与を高くしすぎない

人手不足のあまり給与を高くしすぎると、求人の際に「何か問題があってすぐに人が辞めるから給与が高くなっているのでは?」「激務のため給与が高いのでは?」という疑念を抱かせてしまうことも。近隣の医院の給与額を参考に値段を決めましょう。

給与以外の強みを考える

給与は就職活動において重要視される部分ですが、それ以外をアピールすることも大切です。
例えば「残業が少ない」「育休産休復帰率が高い」などのアピールポイントがあれば、必ずしも給与は高くなくても応募はあるのではないのでしょうか。院の強みと給与などその他の条件のバランスを考えることが大切です。

給与を上げるためのサポート体制を整えるのもおすすめ


歯科衛生士を確保するためには、適切な給与設定とそれ以外の自院の強みを見つけることが重要であるということがご理解いただけたかと思います。
給与面以外の強みを考える際に、福利厚生だけではなく、給与を上げるための本人の努力をサポートする体制作りを行うのもおすすめです。

  • 仕事の範囲を広げる
  • 資格取得の支援
  • 手当てを増やす

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

仕事の範囲を広げる

指示されたことだけを行うのではなく、自分自身ができる業務を増やしてもらい、それが給料に反映されるような体制作りをするのもおすすめです。
新人教育を行ったり、事務作業を習得したり……と歯科衛生士の仕事以外にもこなせるものが増え、積極的に色々な仕事を行ってくれる人材になってくれれば医院も助かりますし、本人も評価されてやりがいが生まれるため簡単には辞めず一石二鳥でしょう。
また、技術を磨いて、ホワイトニングやインプラントなどの自費治療を担当するとインセンティブを出す医院もあります。自院が美容歯科に力を入れている場合は、このような取り組みがおすすめです。

資格取得の支援

歯科衛生士には認定歯科衛生士という資格があります。
認定歯科衛生士は学会ごとに認定研修があり、条件をクリアすれば認定歯科衛生士になれます。

どの認定歯科衛生士も専門性が問われるものになり、年単位で時間がかかるなど条件も厳しいですが、業務の幅が広がるためキャリアを高めたい歯科衛生士には人気の資格です。
例えば、日本歯科審美学会の認定歯科衛生士資格取得の条件は、「日本歯科審美学会に3年以上の会員歴」「学会の学術大会に出席する」「歯科審美に関連する発表を行う」などが挙げられます。
このように、資格の取得には発表の準備や学術大会の出席など、直接の業務とは関係ない所で時間が必要になってしまいます。

この資格取得のために必要な時間と仕事が両立しやすい環境を作るため、無理のないシフト体制で支援するのもおすすめです。

手当てを増やす

積極的に自身の業務の幅を広げたり資格取得を行ったりした場合は、資格手当てなどを増やしてみるのも一つの手です。
自分の努力が目に見える形で評価されるとやりがいになり、離職率を下げることにもつながるでしょう。
また、忙しい時は時間外手当て、残業手当てなどをつけることによって、従業員の不満を落ち着かせることができます。

適した給料設定にすることによるメリット

歯科では人件費の占める割合が高いため、安易に給料を上げると経営に打撃を与える恐れがあります。また、人件費が高いからと言って簡単にクビにすることもできません。

適切な給料設定にすることには、以下のようなメリットがあります。

  • 離職を防ぐ
  • モチベーションアップにつながる

これらのメリットについて、詳しく確認していきましょう。

離職を防ぐ

ふと軽い気持ちで求人サイトを見た時に、現在の給与より高い求人が多くあると「もっと条件のいい医院で働こう!」と転職について真剣に考え出してしまうケースが多くあります。
また、歯科衛生士は売り手市場であるため、求人情報自体も常に多く出ています。
その際に現在の給与がある程度高ければ、求人サイトを見ても転職を思いとどまる可能性があるでしょう。

上記でもご紹介しましたが、歯科衛生士は離職率が高く、約8割が転職を経験していると言われています。
そのため、給与をある程度高くすることで、離職率が下がるのは大きなメリットになるでしょう。


モチベーションアップにつながる

既存の従業員の場合は、給与が上がることでモチベーションアップにつながります。
自分の努力が目に見える形で評価されるというのはやはり嬉しいものです。繁忙期だけでも手当てなどで給与が増えれば「自分たちのことをしっかり見ていてくれる」という気持ちが出て、離職を防ぐ効果もあるでしょう。

給与以外の面も整えて採用につなげよう

歯科衛生士は離職率が高いため、給与だけでなく他の部分も考慮する必要があります。
歯科衛生士が求人を確認する際には、給与以外ではどういった所を気にするのでしょうか。

勤務時間・シフト

勤務時間とシフトは、歯科衛生士にとってかなり重要なポイントです。
歯科医院は営業時間が長い所もあり、そうすると変則的なシフトが増えがちになっていまいます。

  • 土日出勤はあるか
  • 仕事帰りの患者さんをターゲットにしている場合、退勤時間がどれくらい遅くなるか
  • 午前診と午後診の間の休み時間が勤務時間に入っているか(この休み時間が2時間以上と長い場合、勤務時間に入っていない場合がある)
  • 残業は多いか

などを確認されることが多いため、ネガティブに思われる点に対してフォローを行うことが必要になってくるでしょう。(土日出勤や残業の場合は手当てをつけるなど)
生活と両立できるかということを念頭において、勤務時間やシフトを調整してみてください。

院内の人間関係

離職理由としてよく聞くのが「院内の人間関係が悪かったから」という問題です。
歯科クリニックは規模の小さい個人経営の所が多く、一度人間関係がこじれると辞めるしかないことも多くあります。

そうならないように、院長ができることはたくさんあります。

  • 周囲に感謝の気持ちを伝える
  • 雑談
  • 挨拶をする
  • 人材マネジメントを学んでみる
  • コミュニケーションを促進させるため定期的に食事会などを開く
  • 悪口を言わない・同調しない
  • 感情的にならない

以上のようなことを行って医院の空気をよくすれば、離職率も下がるでしょう。

院長ができる人間関係を良くする方法については以下の記事でも詳しくご紹介しているので、ぜひご覧ください。

歯科衛生士は職場の人間関係で悩む?院長ができる人間関係を良くする方法

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まとめ

今回は、歯科衛生士の平均給与や賞与の平均、給与の決め方などをご紹介しました。
歯科衛生士は離職率も高く求人数も多いため、きちんとした待遇でないとすぐに辞める可能性が高いです。
適切な給与設定にしたうえで、それ以外の自院の強みを見つけてみましょう。それでも採用が難しい場合は、デンタルHR総研のような採用代行サービスの利用もご検討ください。

歯科衛生士の給与については以下の記事でも詳しく解説しています。給与設定や採用にお悩みの方はぜひご覧ください。

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