【2024年最新】歯科で使える人材確保の助成金を徹底解説
2024.02.28歯科医院にとって、人材確保は経営の生命線です。しかし、近年は深刻な人材不足が業界全体を悩ませています。採用活動に多大な時間と労力を費やしても求人情報に反応が少なく、優秀な人材を獲得できない等の悩みを抱える医院も多いのではないでしょうか。
そんな課題解決に役立つのが、政府や自治体から提供される人材確保に関する助成金です。助成金は、人材確保のための費用を補助してくれる制度であり、歯科医院にとっても大きなメリットをもたらします。今回は、歯科で使える人材確保に関する助成金を徹底解説します。
歯科の助成金とは?
歯科医院が利用できる助成金は、大きく分けて以下の2種類あります。
- 歯科医院の設備投資や人材育成を支援する助成金
- 歯科医院の雇用を促進する助成金
設備投資や人材育成を支援する助成金は、医療機器の導入費用の一部の補助や経営の安定化に必要な費用の補助等が目的です。一方、雇用を促進する助成金は、従業員の雇用維持に必要な費用の補助や新規に雇用した従業員に対する助成があります。助成金は政府や自治体によって提供されており、それぞれ利用条件や申請方法が異なります。
助成金と補助金の違い
国や自治体等から支給されるお金の制度には助成金と補助金があります。しばしば混同されることも多いのですが、2つの違いは何でしょうか。助成金と補助金の違いは以下の表の通りです。
助成金 | 補助金 | |
管轄 | 厚生労働省 | 経済産業省及び地方自治体 |
財源 | 雇用保険料 | 税金 |
受給 | 要件を満たせば受け取れる | 申請数が多いと受け取れない場合がある |
目的 | 人材育成 | 政策を実施するための援助 |
助成金と補助金は管轄や財源・目的が異なり、要件を満たせば受け取れる助成金に対し、補助金は申請数が多い場合は、倍率が上り受け取れないことがあります。ちなみに、助成金と補助金の併用は不可ですので、注意してください。
歯科医院で助成金を利用するメリット
歯科医院で助成金を利用するメリットには、以下があります。
- 就業環境を整えることができる
- 教育訓練(研修)を充実させることができる
- 福利厚生を充実させることができる
それぞれのメリットを具体的に見ていきましょう。
就業環境を整えることができる
従業員が働きやすい環境作りは重要です。しかし、福利厚生の充実には費用がかかり、経営への負担が懸念されます。その点、助成金を利用すると人材育成・福利厚生等・就業環境改善に必要な費用の補助が可能です。例えば、育児・介護休暇制度やフレックスタイム制等、従業員のライフスタイルに合わせた働き方を可能にする制度が導入できます。また、研修やスキルアップ支援を行い、キャリアアップの機会を提供することも可能です。就業環境を整えることで、従業員の満足度向上やモチベーションアップにつながり、離職率の低下にも貢献できるでしょう。
教育訓練(研修)を充実させることができる
人材確保と育成は、歯科医院経営の重要な課題です。優秀な人材を確保してスキルアップを支援することは、患者満足度の向上や医院の成長・経営安定化にも繋がる重要な要素になります。助成金を利用し、研修費用や人材育成のための費用を補助することは、歯科医院にとって大きなメリットになるでしょう。助成金を利用することで、これまで予算的な制約で実施できなかった研修や技術を習得できる研修を実施することも可能です。例えば、最新の歯科医療技術に関するセミナーや歯科医師・歯科衛生士向けの専門資格取得のための講座等に参加することができるでしょう。研修が充実していると、従業員のスキルアップにつながり、患者様へ質の高い歯科医療が提供できる上、歯科医院の魅力を高め、採用活動の強化にも繋がると考えられます。
福利厚生を充実させることができる
人材確保や定着率の向上には、給与や待遇の充実に加え、魅力的な福利厚生の整備が重要です。しかし、福利厚生の充実には費用の負担も懸念されます。助成金を利用することで、従業員が働きやすい環境を提供し、仕事へのモチベーション向上や離職率の低下・優秀な人材の確保・定着につながるでしょう。充実した福利厚生は、従業員の満足度向上に大きく貢献します。求職者にとっても大きな魅力となり、競合医院との差別化で優秀な人材を引き付けることも可能になります。
福利厚生の重要性については以下の記事もご参照ください。
「【医院向け】歯科衛生士のよくある退職理由を知って職場環境を整えよう」
歯科医院の人材確保につながる助成金一覧
歯科医院で利用可能な人材確保に繋がる助成金をまとめました。状況により種類が変更になる場合もありますが、2024年2月現在の助成金の種類や特徴をご紹介します。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、経験不足等から就職が困難な求職者を原則3か月間の試用期間のトライアル雇用で採用し、対象の医院に対して助成金を支給する制度です。求職者と医院の相互理解を促進し、ミスマッチを解消することで、求職者の早期就職のサポートと雇用創出を図ることを目的としています。長期間のブランクがあり戦力になるか不明な場合や資格は持っているものの、実務経験が不足している場合等に活用できるでしょう。歯科衛生士や歯科助手は女性が多いため、出産や育児で退職し復帰する際のサポートができるのも利点です。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、正社員以外のパート・アルバイト・派遣社員で雇用している方のキャリアアップの促進や処遇を改善するための制度です。さまざまなコースがありますが、以下では2つのコースに着目してご紹介します。
正社員化コース
正社員化コースは、非正規雇用労働者の正社員登用及び無期雇用を促す制度です。雇用形態を変えるだけでなく、正規雇用等へ転換した際は、転換前の6か月と転換等後の6か月の賃金を比較して3%以上増額させることが要件になります。
諸手当制度等共通化コース
諸手当制度等共通化コースは、正規雇用労働者と共通の諸手当制度を非正規雇用労働者等に新たに設け、諸手当や健康診断実施の格差を無くすことを目的としています。例えば、非正規雇用労働者にも正社員同様に賞与を支給することを明記し、実際に支払いを行った際は助成金が支給される仕組みです。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、従業員のスキルアップのために行う教育や研修にかかる費用を助成する制度です。歯科医院で受けられる助成は以下の通りです。
- 特定訓練コース
- 一般訓練コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 特別育成訓練コース
例えば、特定訓練コースや一般訓練コースでは、勉強会や外部に講師を依頼する際にかかる費用が助成され、教育訓練休暇等付与コースでは、従業員に休暇を与え研修に参加させる際の費用を助成できます。
人材確保等支援助成金
人材確保支援助成金は、従業員が魅力と感じる職場環境を整備し、労働条件や人事評価制度を改善する医院を支援する制度です。以下の2つのコースがあります。
- 雇用管理制度助成コース
- 人事評価改善等助成コース
雇用管理制度助成コースは、離職率の軽減のため諸手当の支給・研修制度の導入・時短正社員制度等の取り組みに対して最大72万円の助成金が受給できます。一方、人事評価改善等助成コースでは生産性の向上や賃金の増加に繋がる人事評価の改善に対して助成が行われます。目標を達成した場合は、最大で80万円の助成金が受給可能です。
離職率が高い歯科医院の特徴については以下の記事もご参照ください。
「すぐスタッフが辞める歯科医院の特徴10選|スタッフを辞めさせない方法とは」
働き方改革推進支援助成金
働き方革命推進支援助成金は、その名の通り働き方革命に関する助成金制度です。中小企業の事業主を対象としている制度ですが、歯科医院等の医療機関でも利用ができます。助成金は最大730万円となり、目標の達成状況に応じて助成対象になる取り組みに要した経費の一部が支給されます。
労働時間短縮・年休促進支援コース
労働時間短縮・年休促進支援コースは、労働者の有給休暇を促進する取り組みへの支援を行う制度です。勤怠管理システムの導入や自動精算機等の導入も助成対象になります。
労働時間適正管理推進コース
労働時間適正管理推進コースは、正しい労働時間の管理や研修の導入等、労務に関する全般的な強化を目的としています。最大100万円までの助成が受給可能です。
両立支援等助成金
両立支援等助成金は、家庭と仕事を両立させる労働者のための制度です。女性が多く働く歯科医院にとって両立支援等助成金は、働きやすい環境作りにつながります。両立支援等助成金は、以下の4つに分類されます。
- 出生時両立支援コース
- 不妊治療両立支援コース
- 育児休業等支援コース
- 介護離職防止支援コース
育児休業等支援コースと介護離職防止支援コースでは、どちらも労働者1人当たり10万円まで支給されます。以下で詳しく解説します。他の2つのコースも含め、女性が長く働ける環境作りを行うため、積極的に活用したい制度と言えるでしょう。
育児休業等支援コース
従業員が育児休業をスムーズに取得し、職場復帰もしやすくなるような取り組みを行った場合に、就業と育児の両立に関する制度を導入し、従業員が利用した際に支給される助成金です。
介護離職防止支援コース
従業員が介護休業の取得をスムーズに行い、職場復帰もしやすくなるような取り組みを行った場合に、就業と介護の両立に関する制度を導入し、利用者が生じた場合等に支給される助成金です。
働くパパママ育休取得応援奨励金
働くパパやママに育児休業を取得させて、職場環境を整えた東京都内の企業を奨励するための助成金です。東京都独自の助成金であり、育児休暇を取得しやすい社会の雰囲気作りのために導入されました。コースは以下の4種類があります。
- もっとパパコース
- 働くパパコース
- 働くママコース
- パパと協力!ママコース
2024年も継続予定ですが、詳細は2024年4月1日以降に東京しごと財団の公式HPより確認可能です。
男性の育児休業取得促進奨励金
男女共に仕事と育児を両立できる職場環境を整えるため、育児休暇を取得しやすい職場環境の整備に取り組み、男性の従業員が育児休暇を円滑に取得した事業者に対して支給される助成金になります。神奈川県や千葉県等で導入されており、今年の公募は2024年2月現時点では未発表のため、今後の公募に期待したいところです。
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まとめ
今回は、歯科で人材確保に関する助成金を利用するメリットや2024年最新の人材確保に関する助成金一覧を徹底解説しました。歯科医院で利用できる人材確保に関する助成金は、数多く存在します。それぞれの制度への理解を深めることで従業員のスキルアップや優秀な人材確保・離職率の低下予防を行い、快適な職場環境を作るきっかけにもなるでしょう。デンタルHR総研では、貴医院に最適な人材をプロのノウハウを用いて採用活動を代行します。歯科衛生士の採用にお困りでしたら、一度デンタルHR総研にご連絡ください。
この記事を書いた人
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